「アドバイスを胸に情熱をもって臨んだ本番」

甲斐正晴 国連英検特A級2021年第1回

国連英検協会から贈られたストラップ

はじめに

約30年前にテソーラスハウスにお世話になり実用英検1級を取得後、すぐに国連英検特A級に挑戦しましたが一次試験の段階で全く歯が立たず、それ以来「国連英検特A級」は憧れでした。
その後約30年の長い年月が過ぎましたが、数年前に海外からの視察研修の対応をすることになったことをきっかけに英語力をbrush upしようと思い立ち、その為のモチベーションとして「国連英検特A級合格」を目標に定めました。

再挑戦を始めたものの二次試験での失敗が続き、やはり圧倒的に練習と準備が不足していると感じた私は校長の小林先生にメール。相談をしたところJohn先生のプライベートレッスンをすすめていただき二次試験まで計17回のレッスンを受講し本番に臨むことにしました。

レッスンでは毎週、あらゆる国際問題についてJohn先生の前でプレゼンテーションと議論を行う練習を続けました。John先生からは自分では気が付きにくい発音や文法のミスを指摘していただき修正を重ねました。最初はぎこちなかった私も少しずつcomfortableに話せるようになってきたと感じていました。

 

試験本番

事前に送付された面接シートの記入を済ませ、John先生のチェックを受けました。最近では、アメリカで公式な文書では筆記体は使わないとのことだったので、筆記体ではなくブロック体に書き直しました。メイントピックとして、REFUGEES, CYBERSECURITYと書き、John先生にも内容を確認いただいた想定トピックを15個ほど用意して臨みました。

試験会場では不織布マスクが配布されます。番号を呼ばれた後案内に従って会場の3階へと階段で降りました。指定された部屋の外で10分ほど待機した後「Come in!」との面接官の声。入室後荷物を椅子の上に置くよう指示があり、「どうぞお座りください」との声掛けで席につきました。

まず、試験官から「Could you tell about yourself?」との問い。仕事内容、趣味などを伝えました。 次に「あなたが興味をもっている国際問題について話してください。」と指示がありました。「こうきたか!」と思いましたが、最後に話そうと考えていた“とっておきのテーマ”をぶつけてやろうと「I’d like to talk about the crisis of Freedom of Expression and Freedom of the Press.」 と伝え、話し始めました。

UNESCOによる2013年からの世界のジャーナリスト殺害者数の統計、1961年にJohn F. KennedyがAMERICAN NEWSPAPER ASSOCIATIONの前で行なったスピーチの一部『ITS DESSENTERS ARE SILENCED, NOT PRAIZED』という部分が最近のauthoritarian leadersの行動を象徴していることを伝えました。
併せて、Jamal Khashoggiがサウジアラビアの皇太子に暗殺されたであろうこと、ベラルーシのRoman Protasevichのライアンエアーのルカシェンコによる誘導と逮捕、自宅軟禁の話、また香港のアップルデイリーの解体、創業者ジミーライの逮捕が中国の習近平によって最近導入された国家安全法によるものであり、香港の言論の自由が完全に抑圧されていること、なども伝え表現の自由・出版の自由は危機でありUNESCOやUNシステムによってジャーナリストと表現の自由・出版の自由を守る方法を考えるべきだと述べました。

次に、試験官からつっこんだ質問がきました。
「言論の自由を守ることは大事だが、一方で中国などの国家政策に対して国連が口を出したりすることは、国家への内政干渉になるのではないか?どのように対応すればよいと思うか?」
この質問に対しては、「基本的にあらゆる組織のメンバーは自由に意見を言うことができる。それぞれのメンバーが異なる意見をもつことは当然と考えるべきである。しかしながら、最低限の基準を設けてメンバーがこの基準を遵守するようにすることで、一定の歯止めをかける方法を考え出すべきである。」と答えました。メンバーが言論の自由を抑えることについても最低限の基準を守るべきだということを意味したつもりでした。試験官は一応納得した様子でした。

その後、試験官からは「最近読んだ本」の欄に書いたBen Rhodesのことを聞かれたので、旧オバマ政権の政策アドバイザーでスピーチライターであったこと、最近彼が出演しているボッドキャストの「POD SAVE THE WORLD」を聞いていること、最近書いた『After The Fall』という本は、AMERICAN EXEPTIONALISMはアメリカ本国でも有効ではない、ということを述べていると伝えました。

ここまで話した後、試験官から「最後に何か興味のある国連に関連したトピックを話してください。」と指示があったため何を話そうか若干迷いましたが、話そうと準備しておいたテーマを選び、「I’d like to talk about Cyber Attack and Cyber Security.」と伝え話を始めました。

最近国連の安全保障理事会では、the UN Disarmament Chief がcyber crimeが増加し重大な問題になっていること、アメリカでCOLONIAL PIPELINE や肉加工会社のJBSがDARKSIDEというロシアbased cyber hacker によって攻撃され身代金を払わされ、一部は回収したものの深刻な問題になっていること、また北朝鮮based LAZARUS HEIST がBANGLADESH BANKを襲いマニラのカジノでmoney laundering していることについても話しました。併せて、生活インフラへの攻撃の例として、イスラエルのガザ地区へのミサイル攻撃によって18棟のビルが破壊された例を挙げ、例えばfinancial sector, nuclear facilities, hospital, school などはcyber attackerのtargetにもなりうることも伝えました。(一見cyber attackerとは直接関りないことであった為“例”として理解されるか後で不安になりましたが・・・)続いて、問題は国家ではなくNon-state actorsが行っていることであり、regulateするのが難しいことである。何か効果的な対策をcome up withするべきだと伝えました。

ここまで話したあと、試験官から「It’s time.」と終了を告げられた為、「Is that OK?」と聞き、荷物を持ちThank you.と告げてから退出。面接は終了しました。
それから約一か月後に試験結果が届き、通算5回目の挑戦で二次試験に無事合格することができました。

 

おわりに

約30年前、テソーラスハウスのレッスンを受講し英検1級に合格後長い月日が経過しましたが、30年後の今回の挑戦でもテソーラスハウスのお世話になり無事「国連英検特A級」に合格することができました。John先生が試験直前「Stick to the questions! Entertain examiners!」とアドバイスをくださいました。このアドバイスを胸に情熱をもって本番に臨んだことが良い結果に繋がったのだと思います。

小林先生、John先生、大変お世話になりました。もうすぐ定年という年齢で改めて「合格」という達成感を得ることができ大変感謝しております。また今回の挑戦で、世界情勢についてかなりつっこんで勉強ができたことは現在の仕事にも役に立つと感じています。

テソーラスハウスの益々のご発展をご祈念申し上げます。