「できない自分に魔法をかけてもらった」

S.M. 英検1級 2019年

テソーラスハウスとの出会い

息子達が高校・大学受験をしていた頃、そのあまりの真剣さに驚き、私も何か打ち込める勉強がしたいと思い、学生時代に諦めていた英検1級の勉強を始めました。

勉強を始めると同時に、毎回英検試験を模試感覚で受け続け、8回目でようやく1次試験に合格しました。
何しろ1次合格までの期間が長かったので、英検の問題集をやる傍ら、英会話教室に通ったりオンライン英会話をしていた時期もありました。私はとにかく語彙力が貧弱だったので、独学で1年経った頃、時事英語専門教室にも通いました。1次合格後の最初の2次試験では、2次対策本を参考にして一人でスピーチの練習をしましたが、上手くいくわけもなく非常に情けない思いをしました。

そこで、迷わずテソーラスハウスの体験授業を申し込みました。
私がその頃よく読んでいた英語学習者のブログに、テソーラスハウスのことが書いてあったからです。

テソーラスハウスでまず学んだこと

テソーラスハウスでまず学んだことは、主張する立場を明確にして、ポイントを2つ挙げ、必ず具体例を示すというやり方でした。
私は1次試験の英作文では、3つ理由を挙げても具体例を書くことはありませんでした。自分のやり方が、いかにいい加減だったかがわかりました。

しかし、具体例と言われても、なかなか思いつきません。日頃から様々な社会問題に関心を持って、ニュースを注視することの大切さに気が付きました。主張の是非や具体例については、インターネットで調べたり、夫にも意見を求めて助けてもらいました。

毎週出される6つのトピックは、苦手なものも全てスピーチを書きました。スピーチは、書かないでポイントだけ書き留める方が良い、とも言われます。本番で全く同じトピックが出ることは無いし、原稿がないと喋れないでは困るからです。ですが、私は書かないとロジカルなスピーチ運びが出来ないので、全部書きました。その代わり、スピーチをする時は絶対何も見ない、原稿と違ってかまわないから、その時頭に浮かんだことを何とかつなげてしゃべるようにしました。

サイモン先生は、一見優しそうに見えても、私のスピーチの足りない部分をはっきり指摘して下さいます。結論は先に言うこと、2つのポイントは似たようなものにならないように、アイコンタクトを忘れないことなど幾度も言われました。小林先生は、私が具体例に困っていると、こういうのもありますよとお手本を示して下さいます。また、スピーチをする上での心構えや、最近のトピックのトレンドなど、毎回示唆に富む講評を下さいました。クラスには、年齢も職業も様々な方がいらっしゃいますが、共通しているのは、皆さん勉強熱心で謙虚だと言うことです。なので、クラスの雰囲気はとても良かったです。

試験当日の様子

2回目の2次試験は、日本女子大学で受けました。前の時間帯が遅れていたため、早めに行ったにもかかわらず、試験まで1時間半位待った気がします。私は数日前から風邪をひいていて、頭がぼーっとして反応が鈍く、何も思いつかなかったらどうしよう、とどんよりした気持ちでいました。テソーラスハウスで書き溜めたノートを持参して、スピーチのポイントを、待ち時間にひたすら確認していました。
小さい教室で試験を受けました。

大学にこんな小さな部屋があるのかと思うほど狭く、女性試験官2人と私との距離が非常に近く、まるで学校で3者面談でもしているような感じでした。試験官(白人と日本人女性)はお2人とも洗練された雰囲気でとても感じが良く、緊張していた私には救いでした。
予定が遅れているせいか、自己紹介は軽く済ませて、直ぐに試験が始まりました。トピック用紙は既に机に伏せて置いてあり、表に返してトピックを選ぶよう指示されました。

選んだトピックについて

私が選んだのは、5番目の「銃乱射事件を防ぐためにもっとできることはあるか?」でした。これについてスピーチを書いたことはありませんでしたが、テロや銃乱射事件については、テソーラスハウスでの様々なトピックの中で触れて来た話題です。私はYesの立場をとり、ポイントを2つ挙げました。
①アメリカでは、銃乱射事件はあちこちで起きている。
それは、国民に銃の所持を認めているからである。例えば、フロリダの高校での銃乱射事件では、十代の子が銃で人々を殺している。一方、日本では市民に銃の所持は認めてられていない。ゆえに、アメリカに比べずっと安全な社会である。
アメリカ政府は、もっと銃の規制をすべきである。

②インターネットの普及が、銃によるテロ行為を促進している。
なぜなら、テロの目的の一つに、インターネットでテロ行為の映像を拡散して、世界中の人々にネガティブな影響を与えることがある。例えば、ニュージーランドのクライストチャーチで起きた銃乱射テロ事件では、犯人はイスラム教徒や移民を射殺する映像を、インターネットで配信していた。

テロ行為を防ぐために、インターネットに関する規制をもっと強化すべきである。

どちらも結論を先に言うべきでしたが、とっさのスピーチにおいては、最後まで私の悪い癖は直りませんでした。
スピーチに対する質問は、ちゃんと覚えていないのですが、こんな内容だったと思います。
・アメリカでは銃規制が行われないのは何故だと思うか
・銃を所持することを認める法律についてどう思うか
・アメリカで銃規制が行われることは実現可能だと思うか
・インターネットを規制することが銃乱射事件を防ぐにことになると何故思うのか
・テロ事件が起きる理由はなんだと思うか
最後の質問は、答えている途中で時間が終わりました。

質問は全て、ネイティブの試験官から矢継ぎ早に聞かれて、必死になって答えました。
テソーラスハウスでは、先生が必ずスピーチに関連する質問して、自分で答える練習をしましたし、時間があれば他の人の意見も聞いたりしていたので、これまでの知識を総動員して答えることができました

魔法をかけてもらった

今回、思いがけず合格できたのは、テソーラスハウスのおかげです。テソーラスハウスでの3か月は緊張と充実の連続でした。
その結果、できない自分に魔法をかけてもらったような気がします。今回だめだったら来期も通うつもりでした。
テソーラスハウスに1年間通ったら、きっとどんな話題にも、自分の意見を言えるようになるだろうと思います。
できればもう少し通いたかったです。これからは自分の力で向上できるように頑張ります。
小林先生、サイモン先生、どうもありがとうございました。