「1分間で瞬時にアイデアが浮かんだ!」


小野寺 毅  英検1級合格 

はじめに

私は、いまひとつ英語力に自信がないながらも、10か月足らずの試験勉強の結果、
平成21年度第1回の英検1級試験に合格いたしました。

ここに至るまでの特に二次試験に関する私の学習の経緯や思ったところを記すものですが、
読まれる方に何らかの参考になれば幸いです。

一次試験と平行して行った二次試験準備

私が英検1級受験を思い立ったのは、昨年の10月でした。

英検準1級合格したのは17年前で、その後も様々な形で英語の勉強を継続していたものですが、
思うところ諸々あり、一念発起して1級を目指すことを決意いたしました。

一次試験の8か月前に勉強を開始し、平行して二次試験の準備をすることとしました。

一次と二次の準備を平行して行うというのは多くの受験生がされている、
あるいは既にされてきたことと思いますが、
やはり一次試験対策にも二次試験対策にも集中できないのが辛いところでした。

結果として、二次試験対策はテソーラスのレッスンとその予習・復習がメインで、
一次試験後にテソーラスで学ぶ以外の対策を本格的に実施したような次第です。

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独学の限界

一次試験の勉強と平行しつつ、二次試験対策についても勉強方法を模索しましたが、
その結果として私が得たものは「二次試験対策は独学不可」という結論でした。

本来、私は資格試験等ではコツコツと独学するのが性に合っており、
1級の一次試験も過去問中心に独学しています。

そんな独学派の私が、それなりに二次試験用のテキストとして使える参考書を揃えたり、
ネットで合格体験記を読むなどした上での多少の試行錯誤の結果、
行き詰まり独学の限界を痛感したのです。

試行錯誤の過程で二次試験対策の模範答案も何枚か作りましたが、
とても2分間の枠に収まる内容ではありませんでした。

スピーチや質疑応答で内容的に何をどこまで求められるのか、
ほとんど見当がつかなかったので、小レポートのような模範答案になってしまったのです。

結局、根本的に構成や分量を考え直さなければならなくなったのですが、
独学のままであれば、こんな小レポートのような模範答案を何十枚も丸暗記して二次試験に臨み、
玉砕していたことはほぼ間違いありません。

最終的に、二次試験はある意味「クセのある特殊なテスト」であり、
突破するためには特別な秘訣やノウハウが必要であり、
また、場慣れするための模擬演習が不可欠であるはずだ・・・と思うに至り、
テソーラスの門を叩いたのです。

テソーラスのレッスン

さて、そのテソーラスの最初のレッスンです。

まず与えられたトピックは「少子化対策」という、
その時点の私でも既にある程度予想して勉強していたテーマだったのですが、
いざスピーチを行うとなると緊張でガチガチになり、スピーチの内容も支離滅裂なものになってしまいました。

しかし、その初回でスピーチの基本構造について教わり、目から鱗が落ちる思いをしました。
2分という短い時間で伝えるべきポイントを伝え、
スピーチとして最低限の組立てを構築するには必然的にこういう組立てになるのか
・・・と思ったものです。

その後、レッスンの回数を重ねるごとに、さらに段々要領がわかってきました。

最大のポイントは「グダグダ考えないこと」です。
2分間で伝えられる情報量には限度があります。ある程度の割り切りが必要になります。
イエス・ノーで答えるべき質問にイエスかノーの立場を取ることはもちろんです。

条件付きの賛成はスピーチの論理の切れ味を鈍らせますし、賛否両論を述べるのは判断力や論理構成力の不足を疑われたりもするでしょう。
問題に関する自分の立ち位地を鮮明にして、あくまでも自分の選んだ立場からの意見を展開するということが、
体得した要領の大きな1つです。

この点については、英検1級問題集のスピーチ例などでも「条件付き賛成」「賛否両論」が含まれていたりするので、
多くの受験生が迷うところかと思いますが、テソーラスで、ズバリと核心を衝いた思考方法が得られたように思えます。

さらに私は一歩踏み込み、イエス・ノーで答えるべき質問の場合、
とりあえず自分自身の本音の意見を無視して、論旨が明快で答えやすいサイドを選択することにしていました。

また、説明は余計な枝葉を省いてシンプルにまとめることもレッスンの中で徐々に会得していきました。
下手に「条件」「仮定」「例外」等に囚われると論旨がグダグダになり、
何を言わんとしているのかがわからなくなってしまいます。

特に自分の意見については「~かもしれない」ではなく、ズバリと「~である」と
断定してしまうべきであることも徹底的に頭に叩き込まれました。

もう1つ学んだ大きなポイントは「具体性」です。

「説明を長々と展開するより、事例を1つ挙げた方が説得力がある」
「自分の体験を題材にしてスピーチを構築すると突っ込まれ難い」と
レッスン中に先生から何度も教えていただいたのですが、
これも二次試験突破のための的を射たコツであると思います。

実は英検1級問題集をはじめ様々なスピーチ例を見ると抽象的な説明に終始しているものも少なくないのですが、
やはり「事例」や「経験」を含むスピーチの方が理解しやすかったり、
共感を呼んだりするのも事実です。

しかしながら、適切な事例や経験を自分の引出しの中から見つけてスピーチに盛り込むのは、
なかなか大変なことです。

私も、スピーチが抽象的な説明になってしまうことが度々あり、
事例を盛り込むべきことを再三先生より指摘されたほどです。

テソーラスのレッスンでは、これらのノウハウを知識としてではなく、
思考体系レベルにまで体得できたことが成果でした。

平行してキーフレーズ・キーポイントの暗記が功を奏してきたこともあり、
短時間の内にスピーチを組み立てる要領が把握できました。

こうして、テソーラスのレッスンを受ける中で、二次試験対策上の大きな前進が見られたのです。

しかし、常に課題は「タイムマネージメント」でした。
これは私だけではなく、一緒にレッスンを受けているクラスメートの皆さんにも共通の難点だったようですが・・・。
とにかく、スピーチが2分という時間を思いっきり超過したり、逆に30秒も余ってしまったりなど、
時間管理の難しさを痛切に感じました。

この点だけは最後まで私も苦しんだのですが、対策として、
1つの論点について事例も含めて英文を3~4フレーズに収めることを目安にしていました。

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二次試験対策

テソーラス以外の対策ですが、「合否を決める決定的な要素というのは、
実は自分で能動的に行う対策の如何次第ではないか」と思っています。

私の自主的な対策は以下のとおりです。

① 「英語スピーチハンドブック120」の活用
テソーラスのオリジナル教材である「英語スピーチハンドブック120」を徹底的に活用しました。
私の二次試験対策の主力兵器といっても過言ではないでしょう。

書き込みを入れたり、アンダーラインを引いたりしてカスタマイズし、各ポイントやキーフレーズを暗記しました。
実際の試験にそのままズバリが出るだろうなどと甘い期待はさすがにしていませんでしたが、
頻出テーマのキーワードやキーフレーズを覚えていれば応用が利くはずで、
試験場で為す術もなく敗退することはなくなるだろう・・・とは思っていました。

実際の試験では、やはりズバリはありませんでしたが、後述するとおり、
この本からキーワードを引用して使っています。

② 過去問からの傾向予想、頻出テーマの抽出
私は英検1級問題集を最新版を含めて過去に遡って4冊購入しました。
「過去8年、本試験24回分」の過去問を一次試験対策として解くためです。

しかし、これらの問題集には二次試験の問題やスピーチ例も併載してあり、
二次試験対策のための重要な資料になりました。

特に二次試験の過去の出題トピックを過去24回分通してながめることで出題の底流にある
テーマやパターンを見出すなど、様々な情報が引き出せたように思えます。

たとえば、パターンでは「頻出トピックは切り口を変えつつも頻繁に出題される」
「時事的な要素も出題に反映する」「政治・経済と科学・医学からは必ず1題ずつ出題される」
といったことです。

いわゆる「運を天に任せてヤマをかける」というのはあまり好ましい受験の姿勢ではないと思いますが、
「頻出トピックの全範囲を網羅した上で、特に出題しそうな分野を重点的に学習する」のは
栄冠に通じる戦略だと思います。

全ての頻出トピックを均分に学習するより、傾向をある程度予想して
濃淡のある勉強をする方が有効であると私は思うところです。

③ 頻出トピックの研究
頻出するトピックについては、質疑応答に備えて、ある程度の理解や予備知識が必要であると思います。
私の場合は科学や環境の分野の知識が弱かったので、ネットのグーグルやウィキペディア等を活用して、
「代替エネルギー」「地球温暖化」等の頻出トピックを研究しました。

④ 予想スピーチ作成
出題が予想される時事性の強いトピック等は、既存のスピーチ例等ではカバーできなかったので、
予想スピーチ例を作成しました。

私の場合、「オリンピック招致」「裁判員制度」を時事ネタものとして作り、
「臓器移植」「死刑制度」「国連安全保障理事会の常任理事国」を既存のスピーチ例等を参考にしつつも、
最新の情報を盛り込んで強化した予想スピーチ例として作成しました。

結局いずれも本番では全く出題されず徒労に終わった作業ですが、
出題されても全くおかしくなかったはずですし、
出題された場合にはこのような一見ムダに思えるような準備が縦横に効果を発揮したことと思います。

⑤ 模範スピーチ例の研究
英検1級問題集等の模範スピーチ例も大いに活用しました。
テソーラスのメソッドから見ると「イマイチかな」と思えるスピーチ例ではあっても、
結構、キーフレーズやキーワードは抽出できるものです。

それらの抽出したキーフレーズやキーワードは、「英語スピーチハンドブック120」にメモとして
書き込んだり自前の予想スピーチに埋め込んだりなどしました。

二次試験受験

さて、本番である二次試験の本番です。面接試験の部屋に入って、
まず最初に気付いたのは、日本人の面接官の声が小さめで聴き取りにくいことでした。

こういう点は運不運の1つですが、この程度は甘受すべきものだろうと腹を括りました。


本題前の質問は「いつもの日曜日の朝は何をして過ごしているか」でした。
てっきり自己紹介をさせられると思っていたので出鼻を挫かれた格好です。
「ラジオで音楽番組を聞いている」と答え、「どんな音楽か」との外国人の面接官の問いに「主にポップスである」と返しました。

ここでスモールトークの質疑は終わったのですが、今思うと、
外国人面接官の表情はもっと情報を求めていたように思えます。

ラジオ番組名や好きなアーチスト名といった具体的な情報
を盛り込むべきであったとは今になって考えるところです。

机上のカードを裏返すように指示され、いよいよ試験開始。
緊張しつつ5つのトピックを見て瞬時に思いました。
「やった、これなら何とかなるぞ!」と。
スピーチできそうなトピックが2題も含まれていたからです。

「民主主義国家は非民主主義国家と外交関係を断つべきか否か」というトピックには
「北朝鮮」というキーワードが脳裏に閃き、
「先進国の製薬会社は発展途上国のために薬価を引き下げるべきか」というトピックには、
「アフリカでは経済的な困窮のためにエイズの薬が買えない患者が少なくない」という
キーセンテンスを思い出しました。

一瞬、キーセンテンスのある後者のトピックにしようかとも思いましたが、
話を膨らませることは難しそうに思えました。

そこで前者のトピックに頭を切り替えると、「北朝鮮」から「孤立化は暴発を招き、核兵器を使用するかも」「飢えに苦しむ一般国民に罪はない」という2つのキーセンテンスが思い浮かびました。

ここで、トピックを前者に決めて、2つのキーセンテンスを核にしてスピーチを組み立てよう、
と考えたところで1分間のタイムアップです。

1分間でこれだけのキーセンテンスやキーフレーズが瞬時に思い浮かんだのも、
テソーラスのレッスンで場数を踏んでいたからです。

「アフリカでは経済的困窮のために・・・」というキーフレーズは「英語スピーチハンドブック120」でも
レッスンの中でも出てきたので必然的に覚えていたものです。

「北朝鮮」というキーワードから2つのキーセンテンスを導き出したのも、
1つのテーマやトピックを「ミクロ・マクロ」や「対内・対外」といった2つの視点で見れば、
2つのポイントが見出せるという訓練が出来ていたからです。

話を展開するためのコンセプトを内包したキーセンテンスやキーフレーズがあれば、
あとはそれを説明し、例を示すだけです。

イントロと結論を前後に付けて、10秒ほど時間を余らせてスピーチを終えました。

スピーチの最中、日本人の面接官が「核兵器」など
要所々々のキーワードのところで時折うなずいていたので、内心「いけるぞ!」と思ったものです。

質疑応答に入り、その第一問は「北朝鮮は民主主義国家と外交関係を断とうとしているが、どう思うか」
というものでした。
「それは脅しだ。外交関係を断ちたいという振りをしているだけで、本音は違う。
本当に外交関係を断ったら困るのは北朝鮮だ。」と回答しました。

ここまででも十分回答になっていたはずですが、
得意のトピックだったので私も調子に乗ってしまい、
「民主主義国家はこのような戦略をよく調べて賢明に対応すべきだ」と続けました。

そこで足を掬ってきたのが第二問で、外国人の面接官が「How?」と尋ねてきたのです。
「いかに賢明に対応するのか」という具体的な情報を求める質問ですが、
調子に乗って発言した迂闊な受験者にとっては精神的動揺を招いて回答に詰まりかねなくなるもので、
少々意地の悪い面接官の質問戦術が透けて見えました。

おそらく、1級の面接ではこのような質問や引っ掛けは少なくないことと思います。
しかし、逆に言うなら、この手の質問を軽くいなせば、こちらの力量を思いっきり示せるわけですし、
二次試験の流れを一気にこちら側に引き寄せることが出来るはずです。

面接官がこちらの精神的動揺を誘っている意図が看破できたことと、
実はそれほど難しい質問ではないこともあり、間をおくことなく
「たとえば、敢えてそんな脅しを無視する」と答えられました。

もっと長く答えればベターだとは思いましたが、
さすがにそこまでの余裕やトピックへの知見は私にはありませんでした。

仕切りなおして、第三問は日本人の面接官から
「北朝鮮への経済制裁はさらに厳しくするべきか」というものでした。

これに対しては、「経済制裁の程度は、北朝鮮の対応次第で厳しくしたり緩くしたりすべきである。
現行の経済制裁は適切であると思う。今後厳しくするか否かは今後の北朝鮮側の対応次第である。」としました。

あまり中身のある答えでもありませんが、とりあえず面接官は納得してくれたようです。

実は、この「~次第である(it depends on~)」というのは
テソーラスのレッスンで質疑応答の際に私が多用した表現でした。

無難な受け答えや、あまり専門知識のない分野で質問された場合によく使いましたが、
さらなる質問を呼んだり揚げ足を取られたりすることのない、
使い勝手の良い表現であると自分では思っていました。

第四問は「北朝鮮の他に非民主主義国家はどんな国があるか」というものでした。
これは外国人の面接官が尋ねてきたのですが、やはり今思うと少々危険な質問でした。

下手に中南米やアフリカの軍事色や独裁色の強い国を挙げたならば、
更なる突っ込んだ質問を喰らって知識不足が露呈して墓穴を掘る羽目になったかもしれないからです。

ミャンマーあたりを挙げても反証を喰って立ち往生する可能性もあったと思います。
たまたま私の口から出たのは、「どの国が民主主義国家で、どの国が非民主主義国家であるというのは難しい。現在、中国ではウィグル族が弾圧されている。ロシアでは、元KGB職員らによってジャーナリストが殺されているとも言われている。言論の自由や投票権のない国家が民主主義国家と言えるだろうか。でも、中国やロシアとは国際社会において外交関係を断つわけにはいかないので民主主義国家として扱っているのだ」という答えでした。

「ウィグル族」といった時事ネタも使った上で無難に返答したつもりだったのですが、
今考えると、私のスピーチの「非民主主義国家と外交関係を断つべきではない」という主張と齟齬があったのです。

しかし、何故か突っ込みの質問はありませんでした。
なお、私の回答中の「言論の自由や投票権」といったキーワードは
「英語スピーチハンドブック120」で覚えていたものでした。

第五問は日本人面接官の番で、「日本が今ODAを使うべき国はどこだと思うか」という、
スピーチや今までの質疑応答の流れからやや外れた内容のものでした。

ここでタイムアップが告げられましたが、それと同時に私は「東チモール。国が初期段階。」と言っていました。

質疑応答を終えた後、日本人面接官の言葉に応えてカードを渡そうとしたところ、
「カードを裏返しにして」と告げられ、慌てて裏返しにしました。ここは全くの油断であり、
「interaction」における減点材料になった可能性は否定できません。

こうして、二次の面接試験は終了しました。
たかだか10分の試験でしたが、面接の部屋に入ったところから既に試験開始であり、
様々な点から面接官は受験者をチェックしており、
特に質疑応答では心理的な駆け引きの要素も多分にあったように思えました。

私としては、スピーチにも質疑応答にも、テソーラスのメソッドに則って例示や時事ネタを盛り込むことができたし、
全般的に自分としてはほとんどベストの出来だったことから
「何とか合格しているだろう」と思いつつ帰路に着きました。

試験結果

9日後、私はサイトで自分の合格を知りました。

合格点が60点のところを72点。余裕の合格のはずですが、
私としては必ずしも双手を上げて万歳をする気持ちにはなりませんでした。


セクション1、2、3、4がそれぞれ24、24、12、12。

点数から、二人の面接官の評価は一致していたことが推察されます。
スピーチや質疑応答は五段階評価で言えば4。
文法と語彙、発音はそれぞれ五段階評価で言えば3。

自分自身、元々発音にはあまり自信がなく、
会話では文法が雑になる癖があることがわかっていましたし、
得意なはずの語彙も本番ではあまり駆使できずに終わってしまったので、
3という評価は甘受すべきものでしたが、やはり「かなり客観的かつシビアに評定されたな」とは感じました。

強運とテソーラスでの蓄積に支えられて万全にこなしたはずのスピーチと質疑応答も、
いずれの面接官も五段階評価で満点を付けるに至りませんでした。

4をいただけただけでも満足するべきかもしれませんが、
一方で、世の中にはまだまだ非常に優秀な方々がいること、
自分の見識がまだまだ未熟なこと、英語学習にはまだまだ先があることを思い知らされた次第です。

私の英検1級合格奮闘記が、これから受験される皆様のお役に立ては幸甚です。

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