「挑戦したいことはまだ山のように」

滝澤麗 国連英検特A級 2020年

テソーラスハウスに通うきっかけ

6年前、英検1級二次試験対策をしてくれるような専門校が地元になく、ネットで調べた有名3校のうち、一番電話で親身になって相談に乗ってくださったのがテソーラスハウスの校長、小林先生でした。そこで7回授業に参加し、おかげさまで1級に95点で合格することができました。

国連英検二次試験直前対策講座

英検1級のときの経験から、面接試験の練習は独学では無理。本番前に誰か知識ある人が見ている前でスピーチの練習をする必要があると思っていましたので、迷わずテソーラスハウスに直前対策の申し込みをしました。

直前対策はグループでの授業だったので、まずは1人ずつ自己紹介をしました。それに対して先生が質問をしました。(このときの先生の質問と全く同じ質問を試験当日、試験官に聞かれました。一度話したことのある内容だったので、話しやすかったです。)

宿題のニュース記事について先生がいくつか質問し、私が答えたことについてさらに先生が質問をしてくれるので自分の考えがより深まりました。(そして先生の指摘を元に改善したスピーチを本番で発表することができました。)文法・発音ミスも指摘してもらえたので、自分の喋り方を客観的に見つめ直すことができました。他の生徒さんたちのスピーチも大変参考になりました。

試験当日

日本人試験官に”Come in!”と言われ、部屋に入った直後に外国人試験官に何かWelcome的なことを言われたが緊張で聞き取れず、とりあえず”Hello!”とにこやかに元気よく挨拶をしました。

試験官は2人ともにこやかでとても感じが良かったです。私の話にいつもうなずいてくれて関心を持って話を聞いてくれているようでした。日本人試験官、外国人試験官の順で交互に質問されました。

Q:今日は長野から来られたのですね。
A:はい、はるばる新幹線に乗ってやってきました。

Q:どのくらい時間がかかりましたか。
A:2時間かかりました。

Q:まずはあなたのことについて教えてください
A:Hello, I’m Rei Takizawa. Nice to meet you. I’m a teacher. I teach English at high school, and that is one of the reasons I’m here. 多くの高校生が世界で起きている問題にあまり興味がありません。私は英語を教えるだけではなく、貧困、紛争、環境問題などのglobal issuesについて生徒たちと話し合い、解決策を見つけたいのです。

Q:高校生はそのような話を興味を持って聞いてくれるかな?
A:聞いてくれると思います。なぜなら先日グレタ・トゥーンベリさんの9月に行われたClimate Summitの演説を生徒に紹介しました。何人かの生徒は興味を持って聞いてくれ、「環境問題に興味が持てた。デモに参加したい。リサイクルをもっとしないといけない」と言ってくれました。

Q:何歳の子を教えているの?
A:16歳から18歳です。

Q:グレタ・トゥーンベリさんは環境問題を世間に広めることに成功したかな?
A:はい、でも一つ問題があります。practical solutionsを提示していません。飛行機はCO2排出量が多いのでグレタさんはヨットでニューヨークまで旅をしましたが、皆がそれをできるわけではありません。彼女の発言はまるで皆が産業革命前の原始的な暮らしに戻るべきと言っているようです。ノーベル化学賞を今週受賞した吉野彰さんは電気自動車や他のsustainableなものに使えるリチウムイオン電池を開発しました。それは環境問題の解決策として一つの良い例だと思います。

Q:国連機関はきちんと機能していると思う?良い?まあまあ?それとももっと努力が必要?
A:あまり機能していないと思います。例えば、ツチ族とフツ族のルワンダ紛争、シリア、アフガニスタン戦争時にPKO Unitsを送りましたがいつも決断が遅れてしまいます。なぜならpermanent membersがveto powerを行使するからです。実際アメリカもロシアも今まで100回以上もveto powerを使っています。

Q:では上手くいっている国連の機関はどこだと思いますか?
A:UNESCOだと思います。国連の教科書によるとUNESCOという機関は、お互いの生活様式への無知が人々の誤解や不信感の原因となり、それが戦争につながるという前提をもとに作られました。戦争を防ぐためにはやはり教育が必要だ。UNESCOは教育活動をきちんとしていると思います。2015年に2030agendaが採択され、その中にあるSDGsの4番はquality educationです。SDGsの4番によると「quality educationを受けられれば、貧困のサイクルから抜け出せる」ということです。私は教師なので教育がやはり一番重要だと思います。

Q:面接シートの海外経験の欄に”20 countries”とありますがずいぶん多くの国を訪れていますね。
A:はい、海外旅行をして現地の方々と話すことが大好きです。いつも海外へ行くたびに多くの良い人、親切な人に出会います。私も彼らのように振る舞いたくて、外国人の人たちにいつも親切にしています。そのような行いがworld peaceに繋がっていくのだと思います。

Q:あと少し時間が残っていますが、最後に言っておきたいことはありますか?
A:はい、アフガニスタンのことです。日本人医師の中村哲さんが先週殺されました。彼は井戸を掘ったり、日本のirrigation systemを紹介したり、現地で30年以上も活動されていました。先月アフガニスタンミッションに参加していたUN staffも殺されました。過去3カ月に8000人以上の市民が殺されるか怪我をしています。皆タリバンの仕業ではないかと疑っています。タリバンはパキスタン出身の人が大勢います。パキスタン人の識字率は50%。教育を受けられないため、まともな仕事に恵まれず、止むを得ずタリバンのような過激派組織の活動に従事せざるを得ない人が多いのです。私は先日JICAに関する記事を読みました。JICAのスタッフはパキスタンへ行き、現地の人々に字や料理や縫い物を教えています。私は面接シートの訪れたい国に「パキスタン」と書きました。私も将来パキスタンでそのような仕事をしたいです。海外で教師の仕事をしたいです。

Q:ありがとうございました。
A:会話を楽しむことができました。ありがとうございました。Have a nice day!

Q:You, too!

(内容は不確かな部分、間違っている部分もあると思います。すみません。)

まとめ

テソーラスハウスの二次対策講座は参加する価値が大いにあります。自分のスピーチに自信がない人はとくに。人前で話す練習ができる、文法・発音ミスを指摘してもらえる、他の生徒さんたちや先生が話したネタ(情報)も吸収できる。私はテソーラスハウスで話したトピックをいくつかそのまま本番でも話したので、本番ではより上手に話せました。

国連英検は、私にとって本当に有意義な試験でした。世界情勢に疎かった私ですが、必死に情報を集める中で世界はまだこんなにも紛争、差別、貧困であふれているのだと改めて実感しました。紛争のない平和な土地に住み、当たり前のように地球の資源を無駄使いする日本人。「私が、日本人が世界平和のためにすべきことは何だろう。今何かしなければ!」と、強く思いました。

英検1級合格後、国家通訳案内士、国連英検特A級に挑戦し、今回国連英検に合格することができました。ですがTOEIC990点、TESOL、日本語教師、中国語など挑戦したいことはまだ山のようにあります。私は高校教師ですが、勉強の楽しさを、挑戦することの面白さを生徒に、皆さんに伝えられるような人間になりたいと思っています。

校長、小林先生へ

6年ぶりのテソーラスハウスは本当に楽しかったです。大変お世話になりました。授業後に少しの間、小林先生と授業の運営について話せたことも嬉しかったです。

そのときにお話した通り、私がテソーラスハウスさんに期待することは

①人前でスピーチの練習ができる、

②情報収集です。

②に関しては、国連英検は英検1級のような対策本の販売がない分、それに代わる何かが欲しいなと思いました。国連英検は今まさに世界で起きているトピックについて話すので書籍化は無理ですが、例えば、生徒さんに必ず試験後に報告書(どのような質問をされたか等)を提出することを義務づけ、次に試験を受ける生徒さんたちにその情報をシェアすることはできると思います。(実際にその方法をとっている通訳案内士の学校がありました)国連英検の質問のなかには、最新ニュースとは関係のない、不変的な質問もあります。(例:国連できちんと機能している機関とそうでない機関は何ですか?等)そのような質問を生徒さんたちから聞き取り調査をしてまとめ、それらの質問に対して英検1級の冊子のような模範回答を例示し、それらをまとめたプリントなどをもらえると、(もちろんそのまま暗記して話すわけではありませんが)「このくらいの文量で答えればいいのか」「自分だったらこの文を少しアレンジしてこう答えよう」などと考えるヒントとなります。実際、ジョン先生に「長く話しすぎるな。話しすぎるとvocabularyとかstructureが怪しくなってくる」とアドバイスをいただきましたが、基盤となるような答え方、話す量を知るためにやはり英検1級のような模範回答例文集が欲しいなと思いました。

今回の試験で私は土佐犬さんのブログを始め、国連英検にすでに合格された方々のブログ、合格体験記を(もちろんテソーラスハウスの合格体験記も)読み漁り、試験の雰囲気や過去にされた質問、先輩方の成功談、失敗談を参考に対策し、試験に臨みました。そのような「情報」をテソーラスハウスさんで得られるとありがたいなと思いました。

最後に、小林先生、ラファエル先生、ジョン先生、本当にありがとうございました!またどこかでお目にかかれたら幸いです。あるいはまた将来挑戦する試験対策でお世話になることもあるかもしれません。そのときはまたよろしくお願いいたします。

長野はますます冷えてきました。どうかご自愛ください。