単語対策セミナーで受講生の方からこのような質問をよく受けます。
「英検1級Pass単熟語に、ominousとsinisterという単語があり、「不吉な」という意味がどちらにもありました。どのように違うのかわからなかったので辞書を引いてみたのですが、よくわかりませんでした。どのような違いがあるのか教えてください。」
辞書を引き、掲載されている例文、たとえば
- ominous calm 不吉な静けさ、ominous aspect 不吉な様相
- sinister happenings 不吉な出来事、sinister symptoms 不吉な兆候
というように、たしかに違いがはっきりとはわからないことがあります。
そのような場合は、ぜひ英英辞典を活用してください。
たとえば、Longmanでは以下のように、英語による説明と例文が掲載されています。
○ominous
making you feel that something bad is going to happen
- ”How long will she be ill?” he asked. There was an ominous silence.
- The car is making an ominous rattling sound.
○sinister
making you feel that something evil, dangerous, or illegal is happening or will happen
- There was something sinister about Mr. Scott’s death.
とあり、sinisterの方が「邪悪な、道義に反する、危険な、非合法的な」というように、より狭い意味で定義されていることがわかります。
(定義の方法は辞書により異なります。ご了承ください。)
このような細かなニュアンスの違いは、英和辞典よりも英英辞典の方がわかりやすいことが多いと思います。
その上、「英語を英語で理解する」訓練にもなります。簡単な文章ではありますが英英辞典を繰り返しひくことで読解力の向上にもつながりますし、会話においても難しい単語を使わずに簡単な文章で物事を説明できるようにもなります。
さて、辞書によっては語源による説明もあります。
○omen
ラテン語の「前兆」。良いことにも悪いことにも使う。
○sinister
アングロ-フレンチ語(中世にイギリスで使われたフランス語)では「左」という意味
で使われる。ラテン語では「左」「左側」。左は不運、不吉であると考えられた。
→dexterous
sinisterにもともと「左」という意味があるのは、医学用語でOculus Sinister (左眼)という言葉があることからもわかります。
右眼はOculus Dexter と言います。コンタクトレンズを購入する際、処方箋にOD:-3.50,OS:-3.25などとあれば、ODが右眼、OSが左眼を意味しています。
Dexterやdexterousという単語が気になったので、Pass単熟語のINDEXで探したところ、dexterity(器用さ、利口さ)、Plus単熟語にはdexterous(器用な)がありました。
これは、「右」側にあるもの、例えば「右手」の方が器用だから、というところからきているのかも知れません。
ちなみにPass単熟語にはoculist(眼科医)が掲載されています。optician(メガネ屋)と混同されやすいので注意しましょう。
Pass単熟語やPlus単熟語とにらめっこし、英語-日本語の組み合わせで繰り返し覚えることに行きづまりを感じたら、このようにして1つの単語を深く掘り下げて学習してみてください。より深く記憶にとどめることができるようになるはずです。
お手持ちの英和辞典に最近満足がいかない方は、ぜひ英英辞典や英英辞典が入っている電子辞書、あるいはオンラインの英英辞典をご覧になってみてはいかがでしょうか。新しい世界が開けるかもしれません。