6.英検1級の英作文で高得点を取るコツ|論理の流れを意識した文章構成とは
英検1級のライティングで、文法も語彙も勉強しているのに点数が伸びない。そんな相談を、授業でよく受けます。
こうしたケースの多くは、原因が「論理の流れ」にあります。1文1文は正しくても、文章全体としてつながっていないのです。私たちテソーラスハウスは、35年以上にわたり英語指導を続けてきました。これまでに3,500名以上を、英検1級合格へ導いてきました。
その経験から断言できることがあります。語彙や文法のスコアは高いのに、論理構成が原因で得点が頭打ちになっている受験者は、決して少なくありません。
この記事では、論理の流れとは何か、なぜそれが得点に直結するのか、そしてどうすれば今日から改善できるのかを、具体例とともに解説します。
もし今、「英作文が英検合格の最大の壁となっている」という感覚があるなら、
現在の実力を診断する個別カウンセリングへお越しください。
論理の流れとは何か
論理の流れとは、1つ1つの文が、前後の文と自然につながっている状態のことです。
多くの受験者が誤解していることがあります。それは「接続詞を入れれば論理の流れができる」という考え方です。しかし、接続詞はあくまで「つなぎ目の目印」にすぎません。
文と文の間に、内容としてのつながりがなければ、接続詞を入れても文章はつながりません。
論理の流れ=接続詞ではない理由
例えば、次の2文を見てください。
However でつないだ例:Online learning is convenient. However, cats are popular pets.
接続詞「However」が入っていますが、内容にまったくつながりがありません。これは極端な例ですが、実際の答案でも、内容のつながりが薄いまま接続詞だけで文をつなげているケースは多く見られます。
論理の流れとは、接続詞の有無ではなく、「前の文の内容を受けて、次の文が書かれているかどうか」で決まります。
【図解】論理の流れの基本構造
この流れの中で、それぞれの矢印(↓)は、「前の内容を受けて、次に何が来るか読み手が予測できる」状態を表しています。この予測可能性こそが、論理の流れの正体です。


35年の指導実績から導き出した正解。
無料で、『英検1級・準1級ライティング攻略のコツ』を入手できます。
ダウンロードはこちら
なぜ論理の流れで点数が変わるのか
英検1級のライティングは、内容・構成・語彙・文法の4観点で採点されます。この中で「構成(Organization)」を直接評価するのが、論理の流れです。
論理の流れがある答案とない答案の違い
| 項目 | 論理の流れがない答案 | 論理の流れがある答案 |
|---|---|---|
| 文同士のつながり | 情報が並んでいるだけ | 前の文を受けて次が続く |
| 読み手の負担 | 何度も読み返す必要がある | 一度読めば理解できる |
| 説得力 | 主張が浮いて見える | 理由が主張を支えている |
| 印象 | 断片的、思いつきで書いた印象 | 一貫した思考の流れが見える |
論理の流れがない答案は、内容自体は悪くなくても、「バラバラの情報を並べただけ」という印象を与えてしまいます。これは、構成の評価だけでなく、内容の評価にも影響します。
授業では「単語も文法も勉強しているのに、なぜ点数が伸びないのか」という質問を頻繁に受けます。その答えの多くは、この論理の流れにあります。
ネイティブ採点者は何を見ているのか
ネイティブ採点者は、答案を読みながら、無意識のうちに「次にどんな内容が来るか」を予測しています。
この予測が当たる文章は、スムーズに読めます。逆に予測が外れ続ける文章は、読むたびに立ち止まる必要があり、負担がかかります。
採点者が一度読み返す英作文の特徴
添削の現場でよく分かることがあります。ネイティブ講師が「もう一度読ませてください」と言う答案には、共通点があります。
- 理由と具体例の対応がずれている
- 段落の途中で話題が変わっている
- 代名詞(it, this など)が何を指すのか分かりにくい
- 抽象的な単語のあとに、説明がない
読み返しが必要な文章は、それだけ採点者に負担をかけています。試験本番では、採点者は限られた時間の中で多くの答案を読みます。読みやすさそのものが、印象に直結すると考えてください。
「伝わる文章」と「理解しづらい文章」の違い
伝わる文章と理解しづらい文章の違いを、表で整理します。
| 項目 | 理解しづらい文章 | 伝わる文章 |
|---|---|---|
| 情報の順番 | 唐突に新しい情報が出てくる | 既知の情報から新しい情報へ進む |
| 代名詞の使い方 | 何を指すか曖昧 | 指す対象が明確 |
| 段落の一貫性 | 1段落に複数の話題が混在 | 1段落1テーマで統一されている |
| 文と文の関係 | 情報が並列に並ぶだけ | 因果関係や補足関係が明確 |
この違いを生んでいるのは、単語力や文法力ではありません。情報をどんな順番で並べるかという、構成力です。
論理がブツ切りになる5つの原因
文章がブツ切りになる(つながりが感じられなくなる)原因は、主に5つあります。
原因1:1段落に複数の主張を詰め込む
1つのBody Paragraphに、理由を2つ以上詰め込んでしまうケースです。読み手は、どちらが本当に伝えたいことなのか分からなくなります。
原因2:具体例が理由と対応していない
理由で述べた内容と、具体例の内容がずれていることがあります。理由が「時間の節約」なのに、具体例が「コストの話」になっているようなケースです。
原因3:代名詞の指す対象が曖昧
「it」「this」「that」が何を指しているのか、読み手が迷う場合があります。特に、前の文に名詞が複数あると、混乱が起こりやすくなります。
原因4:段落の最初の文(トピックセンテンス)が弱い
トピックセンテンスとは、その段落で何を伝えるかを示す最初の文のことです。これが曖昧だと、段落全体の方向性が定まりません。
原因5:Body Paragraph同士のつながりがない
1つ目のBodyと2つ目のBodyが、まったく独立した話題のように書かれているケースです。両者が同じ主張を支えているという意識が薄いと、こうなりがちです。
【図解】論理が飛躍する典型パターン
理由:スマホは学習に役立つ
↓(本来ここに深掘りが必要)
具体例:私は毎日運動しています
↓
結論:だからスマホは学校で許可すべきだ
このように、理由と具体例の間につながりがないまま次に進んでしまうと、読み手は「なぜこの具体例が出てきたのか」が理解できません。
高得点答案に共通する文章構成
高得点答案には、共通する構成上の特徴があります。
Body Paragraph同士のつながり方
高得点答案では、1つ目のBodyと2つ目のBodyが、同じ主張を別の角度から支える関係になっています。
例えば、「リモートワークは有益だ」という主張に対して、1つ目のBodyで「従業員側のメリット」、2つ目のBodyで「企業側のメリット」を扱うと、2つの段落が補い合う関係になります。
読み手の認知負荷を減らす書き方
認知負荷とは、情報を処理するときに読み手の頭にかかる負担のことです。
認知負荷を減らすには、次のような工夫が有効です。
- 1文に1つの情報だけを入れる
- 既に出てきた情報を先に置き、新しい情報を後に置く
- 代名詞より、名詞をもう一度使う方が安全な場合もある
- 段落の最初に、その段落の要点を書く
ネイティブが自然に理解できる情報の並べ方
英語には、「Old-to-New(旧情報から新情報へ)」という原則があります。文の前半に、すでに読み手が知っている情報を置き、後半に新しい情報を置くという考え方です。
この原則を意識するだけで、文章の流れが自然になります。日本語ではあまり意識されない感覚ですが、英語では非常に重要視されるポイントです。
NG例と改善例(添削付き)
ここから、実際の添削でよく見るパターンを紹介します。
事例1:理由と具体例が対応していない
NG:Studying abroad is beneficial because it improves language skills. For example, many countries have beautiful scenery.
改善:Studying abroad is beneficial because it improves language skills. For example, students who live with a host family must use the local language every day, which accelerates their learning.
採点者コメント:具体例が理由と直接つながったことで、主張への説得力が生まれました。
事例2:代名詞の指す対象が曖昧
NG:Companies should support remote work. It is important for employees, but it can also cause problems.
改善:Companies should support remote work because it benefits employees. However, remote work can also create communication challenges within teams.
採点者コメント:「it」を具体的な語句に置き換えたことで、何について述べているかが明確になりました。
事例3:トピックセンテンスが弱い
NG:There are some good points about online classes.
改善:Online classes offer greater flexibility for students with busy schedules.
採点者コメント:段落の方向性が明確になり、この後に続く内容を読み手が予測できるようになりました。
事例4:Body Paragraph同士がつながっていない
NG:(Body1)Exercise improves physical health./(Body2)Reading books is a good hobby.
改善:(Body1)Exercise improves physical health by reducing stress levels./(Body2)In addition to physical benefits, regular exercise also improves mental focus, which helps people perform better at work.
採点者コメント:2つ目のBodyが1つ目の内容を受けて発展しているため、答案全体が1つの主張として読めるようになりました。
事例5:情報の順番が逆になっている
NG:A new law will be introduced next year that requires companies to reduce plastic packaging.
改善:Next year, a new law will require companies to reduce plastic packaging.
採点者コメント:時間や条件など、読み手が先に知りたい情報を文頭に移動させたことで、理解しやすくなりました。

35年の指導実績から導き出した正解。
無料で、『英検1級・準1級ライティング攻略のコツ』を入手できます。
ダウンロードはこちら
論理の流れを作る5ステップ
ここまでの内容を踏まえ、論理の流れを作るための実践的な手順を紹介します。
- ステップ1:主張を1文で明確にする
- ステップ2:主張を支える理由を2つ選ぶ
- ステップ3:それぞれの理由に、対応する具体例をセットで用意する
- ステップ4:2つのBodyが、同じ主張をどう補い合っているか確認する
- ステップ5:代名詞や接続詞が指している内容を、読み返して確認する
この5ステップを順番に意識するだけで、文章がバラバラになるリスクを大きく減らせます。
本番で使える論理構成テンプレート
試験本番でそのまま活用できる、論理構成のテンプレートを紹介します。
Introduction:
I believe that (主張). This is mainly because of two reasons.
Body 1:
(理由1を表すトピックセンテンス). For example, (具体例1).
Body 2:
In addition, (理由2を表すトピックセンテンス). For instance, (具体例2).
Conclusion:
For these reasons, I believe that (主張の再提示).
このテンプレートのポイントは、「In addition」という接続詞が、単なるつなぎ言葉ではなく、「Body1の内容に加えて、Body2がある」という論理関係を表している点です。
試験直前チェックリスト
答案を書き終えたら、次の項目を確認しましょう。
- 各段落の最初の文で、その段落の要点が分かるか
- 理由と具体例が、内容として対応しているか
- 代名詞が指している対象が、誰が読んでも明確か
- 2つのBody Paragraphが、同じ主張を支えているか
- 情報の順番が、読み手にとって自然な流れになっているか
- 声に出して読み、つながりに違和感がある箇所はないか
よくある質問(FAQ)
Q1. 接続詞を増やせば論理的に見えますか?
いいえ。接続詞は内容のつながりがあって初めて機能します。接続詞を増やすより、内容のつながりを見直すことが優先です。
Q2. Body Paragraphはいくつ書くべきですか?
英検1級のライティングでは、Body Paragraphを2つ書く構成が基本です。理由を2つに絞ることで、それぞれを深く説明できます。
Q3. トピックセンテンスは必ず必要ですか?
必要です。段落の最初に要点を示すことで、読み手はその後の内容を予測しながら読めます。
Q4. 具体例はどのくらいの長さが目安ですか?
1〜2文程度で十分です。長すぎる具体例は、かえって段落全体のバランスを崩します。
Q5. 代名詞は使わない方がいいですか?
使ってかまいませんが、指す対象が曖昧になりそうな場合は、名詞をもう一度使う方が安全です。
Q6. 論理の流れは独学でも身につきますか?
意識して練習すれば身につきますが、自分の答案の「どこが分かりにくいか」は、自分では気付きにくいものです。第三者からのフィードバックが効果的です。
Q7. 語彙力があれば論理構成は関係ありませんか?
関係あります。語彙力が高くても、情報の並び方が悪ければ、採点者に内容が伝わりません。
Q8. Body1とBody2はどんな関係にすればいいですか?
同じ主張を、異なる角度から支える関係が理想です。対立する内容ではなく、補い合う関係を意識しましょう。
Q9. 論理の飛躍はどうすれば気付けますか?
書き終えたあと、「なぜ?」と自問しながら読み返す方法が有効です。答えられない部分が、飛躍している箇所です。
Q10. この記事の内容はどのレベルの受験者向けですか?
準1級合格者から、英検1級でライティングが伸び悩んでいる方まで、幅広く活用できる内容です。
まとめ
英検1級のライティングで高得点を取るには、語彙や文法だけでなく、論理の流れが欠かせません。
今回紹介したポイントを振り返ります。
- 論理の流れとは、接続詞ではなく内容のつながりで決まる
- 理由と具体例は、必ず内容として対応させる
- トピックセンテンスで、段落の方向性を明確にする
- Body Paragraph同士は、同じ主張を補い合う関係にする
- 情報は、既知の内容から新しい内容へ並べる
これらは、35年以上の指導と、3,500名以上の答案添削から見えてきた、共通のパターンです。
次の英作文を書くとき、接続詞を増やす前に、文と文の内容がつながっているかを確認してみてください。それだけで、答案の完成度は確実に変わります。
英作文を独学で続けることに不安がある方へ
論理構成や文章の流れは、自分では気付きにくい弱点の一つです。書いている本人にとっては自然な流れでも、読み手から見ると情報が飛躍していることは珍しくありません。
こうした課題は、第三者、とくにネイティブ講師からの添削によって、はじめて明確になります。自分の答案のどこでつながりが途切れているのか、客観的な視点で指摘してもらうことが、改善への近道です。
テソーラスハウスでは、35年以上・3,500名以上の受講生を指導してきた経験をもとに、一人ひとりに合わせたライティング指導を行っています。体験レッスンでは、現在の英作文の課題や改善ポイントを具体的に知ることができます。
英作文は、ほんの少し論理構成や表現を見直すだけで、採点者に伝わる印象が大きく変わります。もし現在の書き方に少しでも不安があるなら、一度プロの添削や体験レッスンを通して、ご自身の英作文を客観的に見直してみませんか。
論理の流れは、自分では欠落に気づきにくい領域です。ネイティブ講師が英検の採点基準で添削し、約5日で返却します(要約は模範解答付き)。まずは1本 ¥1,980 の添削体験から。続けて鍛えるならオンライン添削 10本セット(¥18,000〜)へ。
もし今、英検対策の学習に行き詰まりを感じているなら、
現在の実力を診断する個別カウンセリングへお越しください。
また、校長 小林蕗子による直通電話相談も、お気軽にご利用ください。
英作文に苦手課題をお持ちの方へ
英作文の苦手意識は、英語力ではなく「採点基準の読み違い」で起きていることがほとんどです。特に要約セクションはその傾向が顕著です。そこで35年の指導実績から、よくある英作文の弱点について整理した冊子を作成しました。
― この無料小冊子でわかること ―
- 要約問題で減点される典型パターンと、その避け方
- 英作文で評価を分ける「論理の通し方」――テンプレートでは埋まらない部分
- 採点する側が最初に見る箇所と、点差を生む一文
ご登録はメールアドレスのみ。営業のお電話はいたしません。配信はいつでも1クリックで停止できます。
※ご登録後、ダウンロードリンクをメールでお送りします。数分内に届かない場合は迷惑メールフォルダもご確認ください。
