5.英検1級の英作文の書き出し方|説得力が伝わるイントロダクションのコツ
英検1級の英作文で、最初につまずく人が多いのがイントロダクションです。
「何から書けばいいのか分からない」「書き出しに時間がかかりすぎる」。こうした悩みは、添削の現場で本当によく聞きます。
私たちテソーラスハウスは、35年以上にわたり英語指導を続けてきました。これまでに3,500名以上を、英検1級合格へ導いてきました。
その経験から言えることがあります。イントロダクションの出来で、答案全体の印象は大きく変わります。最初の数行を読んだ時点で、採点者の中にはすでに「この答案は伝わりやすそうだ」という感覚が生まれているのです。
この記事では、なぜイントロダクションが重要なのか、どう書けば説得力が生まれるのかを、具体例とともに解説します。読み終える頃には、次の英作文からすぐに実践できる形になっているはずです。
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イントロダクションの役割とは
イントロダクションには、明確な役割があります。それは「この後、何について、どんな立場で書くのか」を最初に示すことです。英検1級のライティングは、200語程度という限られた語数で書きます。この短さの中で、読み手を迷わせないことが何より重要です。
なぜイントロダクションが重要なのか
日本語の作文では、書き出しで少しずつ話題に入っていく書き方が自然に感じられます。しかし、英語のエッセイでは逆です。
最初の数行で、主張とその方向性を明確に示す必要があります。これができていないと、採点者は「結局何が言いたいのか」を探しながら読むことになります。
探しながら読む答案と、最初から迷わず読める答案。この2つでは、同じ内容でも受ける印象がまったく違います。イントロダクションは、いわば答案全体の「地図」の役割を果たしているのです。
ネイティブ採点者は最初の数行で何を見るのか
ネイティブ採点者は、1日に大量の答案を読みます。そのため、最初の数行を読んだ時点で、ある程度の印象を持ちます。採点者が最初の数行でチェックしているポイントは、主に次の3つです。
| チェックポイント | 具体的な内容 |
|---|---|
| 立場が明確か | 賛成・反対・条件付きなど、方向性が分かるか |
| 論点がずれていないか | 与えられたトピックに正しく答えているか |
| 英文として自然か | 文法や語順に不自然さがないか |
この3つが最初の数行でクリアできていると、採点者は安心して先を読み進められます。逆にここでつまずくと、後半でどれだけ良い内容を書いても、最初の印象を覆すのは簡単ではありません。
添削の現場でよく気付くことがあります。内容自体は悪くないのに、書き出しで論点がぼやけているために、全体の評価が伸びない答案が非常に多いのです。これは、独学ではなかなか気付きにくい減点パターンです。

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NGなイントロダクション
ここでは、初心者が書きがちな、NGなイントロダクションのパターンを紹介します。
NGパターン1:「Some people believe…」型
多くの参考書で紹介されているため、この型から入る受験者は非常に多くいます。
NG例:Some people believe that technology is good, but other people believe that it is not good. In this essay, I will discuss this topic.
一見問題なさそうに見えますが、これは「自分の意見」がどこにもありません。第三者の意見を紹介しているだけで、書き手の立場が最後まで分からないのです。
NGパターン2:トピックの言い換えだけで終わる
NG例:Nowadays, many people use smartphones. Smartphones are very popular in our society.
これは、与えられたトピックを別の言葉で繰り返しているだけです。新しい情報も、書き手の立場も含まれていません。
NGパターン3:背景説明が長すぎる
NG例:Since the Industrial Revolution, technology has developed rapidly, changing the way people live, work, and communicate with each other in countless ways over the centuries.
背景を説明すること自体は悪くありません。しかし、200語しかない中で、こうした壮大な背景説明に文字数を使いすぎると、肝心の主張を書くスペースがなくなります。
NGパターン4:いきなり具体例から始める
NG例:For example, my friend uses a smartphone every day and it helps him a lot.
具体例は重要な要素ですが、意見や立場を示す前に具体例から始めると、読み手は何についての具体例なのか分からず混乱します。
改善例で見る「良いイントロダクション」
先ほどのNG例を、実際にどう改善すればよいのか見ていきましょう。
改善事例:「Some people believe」型からの脱却
NG:Some people believe that technology is good, but other people believe that it is not good. In this essay, I will discuss this topic.
改善後:I believe that technology has improved people’s lives significantly. This is mainly because it has made communication faster and more convenient than ever before.
なぜ良くなったのか:最初の1文で、自分の立場(賛成)が明確になりました。2文目では、その理由の方向性も示されています。読み手は、この先どんな内容が続くのか、迷うことなく予測できます。
採点者目線で解説:採点者は、この2文を読んだ時点で「賛成の立場で、コミュニケーションの利便性について書かれる答案」だと理解できます。この見通しの良さが、読みやすさの評価につながります。
改善事例:背景説明を1文に凝縮する
NG:Since the Industrial Revolution, technology has developed rapidly, changing the way people live, work, and communicate with each other in countless ways over the centuries.
改善後:Technology has changed dramatically over the past few decades. I believe this change has had a mostly positive impact on society.
なぜ良くなったのか:背景説明を1文に絞り、すぐに自分の立場へつなげています。壮大な歴史の説明は不要で、直近の変化に触れるだけで十分です。
採点者目線で解説:背景から意見への流れがスムーズになり、無駄な文字数がなくなりました。この分、Body Paragraphに文字数を使うことができます。
200語という制限をどう考えるべきか
英検1級のライティングは、200語程度で書くことが求められます。この制限の中で、どこにどれだけの文字数を配分するかが、答案の完成度を左右します。
イントロ・Body・Conclusionの理想的な割合
| セクション | 目安の語数 | 割合 |
|---|---|---|
| イントロダクション | 30〜40語 | 約15〜20% |
| Body Paragraph(2つ) | 各60〜70語 | 約60〜65% |
| Conclusion | 25〜35語 | 約15%程度 |
この割合からわかる通り、イントロダクションは全体の2割に満たない分量です。にもかかわらず、多くの受験者がイントロダクションに時間をかけすぎてしまいます。
授業でよく受ける質問に、「イントロダクションはどこまで詳しく書けばいいですか」というものがあります。答えはシンプルです。詳しく書く必要はありません。立場と方向性が伝われば、それで十分な役割を果たしています。
【図解】イントロダクションの内部構成
イントロダクションの中でも、さらに小さな流れがあります。
背景(1文、簡潔に)
↓
自分の立場(賛成・反対・条件付きなど)
↓
理由の方向性(詳細はBodyで書く)
この3ステップを、30〜40語程度でまとめるのが理想です。詳しい理由や具体例は、この段階では書きません。Body Paragraphに譲ります。
背景説明の重要性
「背景説明は必要ですか」という質問も、授業で頻繁に受けます。結論から言うと、短い背景説明はあった方が、説得力が増します。
なぜ背景を書くと説得力が増すのか
いきなり意見だけを述べるより、簡単な背景を添えることで、読み手はその意見が生まれた文脈を理解しやすくなります。
例えば、「I believe that remote work is beneficial.」という1文だけでは、なぜ今この話題を取り上げているのかが伝わりません。
一方で、「Remote work has become increasingly common in recent years. I believe that this trend is beneficial for both employees and companies.」とすると、社会的な文脈があった上での意見だと分かります。
ただし、背景説明は1文で十分です。長く書きすぎると、先ほどのNG例のように、肝心の主張のスペースを圧迫してしまいます。

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シャープで無駄のない英文とは
ネイティブ講師が添削の際によく指摘するのが、「無駄な修飾語」です。
無駄な修飾語を削るという発想
「very」「really」「so」といった強調語を多用する受験者は少なくありません。しかし、これらの単語は、具体的な情報を何も付け加えていません。
NG:Technology is very very important in our modern society today.
改善:Technology plays an important role in modern society.
強調語を削り、代わりに具体的な内容を書く方が、はるかに説得力のある英文になります。ネイティブ講師の視点では、「感情的な強調」より「具体的な事実」の方が、読み手に伝わる力を持っています。
この視点は、日本の学校教育ではあまり強調されません。だからこそ、独学だけでは気付きにくいポイントの1つです。
実際に使えるテンプレート
ここでは、立場ごとに使えるイントロダクションの型を紹介します。ただし、これらは丸暗記するためのものではありません。あくまで「型の考え方」として理解し、トピックに合わせて自分の言葉で調整してください。
賛成の立場
I believe that (トピックの主張) is beneficial for (対象).
This is mainly because it (理由の方向性を一言で).
反対の立場
I do not believe that (トピックの主張) is a good idea.
This is mainly because it could lead to (懸念される結果を一言で).
条件付き賛成の立場
I believe that (トピックの主張) can be beneficial, but only if (条件).
Without this condition, it may cause problems such as (簡単な理由).
中立の立場
Both sides of this issue have valid points.
However, I believe that (どちらかに寄せた結論) when considering (判断基準).
※中立ではあるが、最終的にどちらかの意見に寄せている点に留意
いずれの型も、共通しているのは「最初に立場を明示すること」です。この骨組みさえ守れていれば、あとは自分の言葉で自然に調整して問題ありません。丸暗記した表現をそのまま使うと、トピックとかみ合わない不自然な英文になることがあるため、注意が必要です。
よくある失敗とその改善
添削で繰り返し見る、イントロダクションの失敗パターンを紹介します。
失敗1:立場を最後まで明示しない
添削前:There are many opinions about this topic.
添削後:I believe that this policy would benefit most citizens.
意見がどこにもない書き出しは、読み手を不安にさせます。
失敗2:質問文で始めてしまう
添削前:Have you ever thought about how technology affects our lives?
添削後:Technology has changed the way people communicate.
エッセイライティングでは、読み手に問いかける書き方は基本的に不要です。単刀直入に自分の考えを述べましょう。
失敗3:一般論の羅列で終わる
添削前:Education is important. Everyone needs education. Education helps people.
添削後:Education plays a key role in shaping individuals’ future opportunities.
同じ内容を言い換えているだけで、情報が増えていません。
失敗4:接続詞なしで文をつなげる
添削前:Technology is convenient, it also has some risks.
添削後:Technology is convenient. However, it also has some risks.
文と文のつなぎ目に接続詞がないと、文法的なミスとして減点対象になります。
失敗5:主張と理由が矛盾している
添削前:I believe that studying abroad is beneficial. However, it is often too expensive for most students.
添削後:I believe that studying abroad is beneficial, especially for developing language skills.
理由が主張を弱めてしまっている典型例です。イントロダクションの中で、自分の主張に矛盾する情報を入れないよう注意しましょう。
失敗6:トピックからずれた話題で始める
添削前:Many countries have different education systems around the world.
添削後:I believe that online education is an effective way to learn new skills.
トピックの周辺情報から入りすぎると、本題にたどり着くまでに文字数を使いすぎてしまいます。
試験本番で使えるチェックリスト
最後に、本番で使えるチェックリストを、タイミング別に紹介します。
試験開始前のチェックポイント
- トピックの質問文を2回読み、聞かれていることを正確に把握したか
- 賛成・反対・条件付きなど、自分の立場をひと言で決めたか
- 使えそうな理由が2つ思い浮かんでいるか
イントロダクションを書いた後のチェックポイント
- 最初の2〜3文で、自分の立場が明確に伝わるか
- 背景説明が長くなりすぎていないか
- 語数が30〜40語程度に収まっているか
見直し時のチェックポイント
- 主張と、この後書く理由が矛盾していないか
- 「very」「really」などの不要な強調語を使っていないか
- 文法的に不自然な箇所がないか、声に出して確認したか
このチェックリストを、書き終えるたびに確認する習慣をつけると、イントロダクションの完成度は着実に安定していきます。
まとめ
英検1級の英作文において、イントロダクションは全体の分量こそ少ないものの、答案全体の印象を左右する重要な部分です。
今回紹介したポイントを振り返ります。
- イントロダクションの役割は、立場と方向性を最初に示すこと
- 採点者は、最初の数行で読みやすさの印象を持つ
- 「Some people believe」型に頼りすぎず、自分の意見から始める
- 背景説明は1文程度に絞り、主張につなげる
- 語数配分は、イントロ2割、Body6割強、Conclusion2割弱が目安
- テンプレートは丸暗記せず、考え方として活用する
これらは、35年以上の指導と、3,500名以上の答案添削から見えてきた、共通のパターンです。
次の英作文を書くとき、まずは最初の2文で自分の立場を明確にすることを意識してみてください。それだけで、答案全体の説得力は確実に変わります。
英作文を独学で続けることに不安がある方へ
ここまで、イントロダクションの書き方を詳しく解説してきました。
とはいえ、英作文は独学では改善しにくい分野です。文法的には正しくても、論理の流れや説得力の面で、自分では気付けない課題が残っていることは珍しくありません。
実際、添削の現場では、本人が意識していなかった減点ポイントが、必ずと言っていいほど見つかります。イントロダクションの立場の示し方、背景説明のバランス、語数配分など、客観的に見て初めて分かることが多いのです。
テソーラスハウスでは、35年以上・3,500名以上の指導実績をもとに、ネイティブ講師による丁寧な添削を行っています。一人ひとりのレベルに合わせて指導するため、英作文が初めての方でも安心して受講いただけます。
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