4.英検1級の英作文で高得点を取るコツ|難しい表現より正確な英語を選ぼう
英検1級の英作文で高得点を取る人には、共通点があります。それは、難しい単語や凝った構文を使っていないことです。
多くの受験者は、「難しい英語=高得点」だと思い込んでいます。しかし、実際の採点基準はまったく逆です。
私たちテソーラスハウスは、35年以上にわたり英語指導を続けてきました。これまでに3,500名以上を、英検1級合格へ導いてきました。その経験から、はっきり言えることがあります。難しい英語を書く人ではなく、正確で伝わる英語を書ける人が、高得点を取っています。
この記事では、なぜそう言えるのか、どうすれば正確な英語が書けるのかを、具体例とともに解説します。
授業で実際によく受ける質問や、添削で繰り返し目にするミスも、あわせて紹介します。読み終える頃には、次の英作文から実践できる形になっているはずです。
もし今、「英作文が英検合格の最大の壁となっている」という感覚があるなら、
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難しい英語を書くほど高得点になるという誤解
まず、多くの受験者が抱いている誤解を解いておきます。
英検1級を目指す人の多くは、「準1級までの英語では通用しない」と考えます。この考え自体は、間違いではありません。
しかし、その延長で「とにかく難しく書けばいい」という発想に飛躍してしまう人が非常に多いのです。授業でこの話をすると、ほとんどの受講生が心当たりがあると答えます。
なぜ「難しい英語=高得点」だと思ってしまうのか
英検1級の対策を始めると、難しい単語や複雑な構文が並ぶ模範解答をよく目にします。
参考書やインターネット上のサンプル解答には、ネイティブでも普段あまり使わないような、格式張った表現が並んでいることがあります。
その結果、「自分もこのレベルを書かなければ合格できない」と思い込んでしまうのです。この思い込みは、対策を始めたばかりの受験者ほど強く持っています。
しかし、これは大きな誤解です。実際の採点は、難易度の高さではなく、内容の正確さと伝わりやすさを基準に行われています。
模範解答をそのまま真似すると失敗する理由
模範解答は、ネイティブレベルの筆者が、時間をかけて練成した文章です。辞書や校正ツールを使い、何度も推敲を重ねて完成させています。
これを試験本番で、25分程度の時間制限の中で再現しようとすると、次のような問題が起こります。
- 使い慣れない単語を無理に使い、意味がずれる
- 複雑な構文を組み立てる途中で、文法が崩れる
- 見た目は難しいが、内容が浅くなる
- 時間が足りなくなり、後半が雑になる
- 書き慣れない表現を使うことで、逆に不自然な英語になる
授業でこの傾向を伝えると、驚く受講生が多くいます。「難しく書けば書くほど不利になる場合がある」という事実は、独学では気付きにくいポイントです。
模範解答は、あくまで「完成形の一例」にすぎません。自分の実力に合わないレベルの表現を真似ることは、むしろリスクを高める行為だと理解しておきましょう。

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採点者は何を評価しているのか
英検1級のライティングは、次の4つの観点で採点されます。
| 観点 | 評価される内容 |
|---|---|
| 内容(Content) | 主張が明確で、理由や具体例が十分か |
| 構成(Organization) | 論理的な流れになっているか |
| 語彙(Vocabulary) | 適切な語彙を、正確に使えているか |
| 文法(Grammar) | 文法的に正しい英文になっているか |
ここで注目すべきは、「語彙」の評価基準です。難しい単語を使うことではなく、「適切な語彙を正確に使う」ことが評価されます。
つまり、簡単な単語でも、正確に使えていれば高評価につながるのです。逆に、難しい単語を使っていても、意味がずれていたり、不自然な使い方をしていたりすれば、評価は上がりません。
授業では「難しい単語を使わないと語彙点が伸びないのでは」という質問をよく受けます。しかし、採点基準に「難易度の高い単語を使うこと」という項目はありません。基準はあくまで「正確さ」です。
ネイティブ採点者が読みやすい英文とは
ネイティブ採点者は、1日に何十枚、何百枚もの答案を読みます。
そのため、読みやすい英文かどうかは、採点のスピードと印象に直結します。読みにくい答案は、それだけで採点者に負担をかけてしまいます。
読みやすい英文には、共通する特徴があります。
- 1文が短く、意味の切れ目が明確である
- 主語と動詞の関係がはっきりしている
- 難しい単語より、正確な単語が選ばれている
- 修飾語が多すぎない
- 読み手が2度読みしなくても理解できる
逆に読みにくい英文は、採点者に「内容が伝わりにくい」という印象を与えます。これは、内容評価にも間接的に影響します。
添削の現場でよく感じることがあります。文法的には正しくても、1文に情報を詰め込みすぎている答案は、読んでいて疲れます。これは、教育現場で大量の答案を読み続けてきたからこそ実感できる感覚です。
難しい構文が危険な理由
難しい構文には、大きなリスクがあります。それは、間違えたときの被害が大きいことです。
シンプルな構文であれば、多少のミスがあっても意味は伝わります。しかし、複雑な構文は、1か所のミスが文全体の意味を壊してしまいます。
危険な構文の例
英検1級の受験者が挑戦しがちな、リスクの高い構文を紹介します。
- 仮定法過去完了を使った長い譲歩構文
- 複数の関係代名詞が入れ子になった文
- 分詞構文を多用した文
- 倒置を使った強調表現
- 「it is 〜 that」構文を無理に組み込んだ文
これらは、正しく使えれば効果的です。しかし、1つでも間違えると、文全体の意味が崩れてしまいます。特に本番では、緊張から普段使い慣れている構文でもミスが起こりやすくなります。
【図解】難しい構文のリスク
複雑な構文に挑戦する
↓
文法ミスが起こる確率が上がる
↓
主語と動詞の対応が崩れる
↓
採点者が意味を理解できない
↓
内容評価と文法評価が同時に下がる
添削の現場では、こうしたケースが本当によくあります。難しい構文に挑戦した結果、文法が崩れ、内容まで伝わらなくなっている答案です。
これは、独学では気付きにくい減点パターンです。書いている本人は「難しいことに挑戦した」と満足していますが、採点者には意味が伝わっていません。授業では、こうした答案を実際に見せながら、なぜ伝わらないのかを一緒に確認するようにしています。
なぜ受験者は難しい構文に挑戦してしまうのか
添削をしていて気付くことがあります。難しい構文に挑戦する受験者ほど、真面目に対策をしてきた人が多いということです。
参考書で覚えた構文を「使わないともったいない」と感じ、無理に本番で使おうとしてしまうのです。この心理は、努力家であるほど陥りやすい傾向です。
しかし、本番の英作文で評価されるのは、覚えた構文の数ではなく、伝わる英文が書けるかどうかです。この視点の転換が、高得点への第一歩になります。
高得点答案の特徴
では、実際に高得点を取る答案には、どんな特徴があるのでしょうか。
高得点答案に共通する特徴を、5つにまとめました。
- 1文が短く、意味が明確である
- 使う単語は基本的だが、使い方が正確である
- 主張と理由の対応が一貫している
- 難しい表現より、伝わる表現を優先している
- 読み終えたあと、内容がすぐ頭に入る
これらの答案には、派手さはありません。しかし、読んでいて「言いたいことがすぐわかる」という特徴があります。
長年の添削経験から言えることがあります。満点に近い答案ほど、使われている単語は中学・高校レベルのものが中心です。難易度の高い単語は、ここぞという場面で1つか2つ使われている程度です。派手な語彙で埋め尽くされた答案は、むしろ少数派です。
低得点答案との違い
高得点答案と低得点答案を、比較表で整理します。
| 項目 | 低得点答案 | 高得点答案 |
|---|---|---|
| 文の長さ | 1文が長く、途中で意味を見失う | 1文が短く、明確である |
| 単語の選び方 | 難しい単語を無理に使う | 正確で自然な単語を選ぶ |
| 構文 | 複雑な構文に挑戦し、崩れる | シンプルな構文で安定させる |
| 文法の正確さ | ミスが多く、読み手が混乱する | 基本文法が正確に使われている |
| 読後感 | 何が言いたいのか分かりにくい | 主張がすぐに理解できる |
この表からわかる通り、差を生んでいるのは「難易度」ではなく「正確さ」と「伝わりやすさ」です。
もう1つの比較:簡単な英文 vs 難しい英文
| 項目 | 簡単な英文 | 難しい英文 |
|---|---|---|
| 書きやすさ | 時間内に安定して書ける | 時間内に崩れやすい |
| ミスのリスク | 低い | 高い |
| 採点者の読みやすさ | 高い | 文法ミスがあると低くなる |
| 得点への影響 | 正確に使えば高評価 | ミスがあれば減点対象 |
簡単な英文には、リスクの低さという大きな利点があります。試験本番は、実力を100%発揮することが難しい環境です。緊張や時間制限の中では、普段書き慣れている表現の方が、安定した成果につながります。
授業でこの比較表を見せると、多くの受講生が「難しく書く必要はないんですね」と安心した表情を見せます。この安心感こそが、本番での落ち着いた答案作成につながります。

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添削事例:Before→After→改善理由
ここから、実際の添削でよくあるパターンを紹介します。
いずれも、受講生の答案でよく見られる典型的なミスです。自分の英作文にも当てはまるものがないか、確認しながら読んでみてください。
事例1:長すぎる1文
Before:Although it is often said that technology has brought many conveniences to our daily lives, which have changed the way people communicate, work, and spend their free time, it also has some negative aspects that should not be ignored.
After:Technology has brought many conveniences to our daily lives. However, it also has some negative aspects that should not be ignored.
改善理由:1文を2文に分けることで、主語と動詞の対応が明確になりました。読み手が一度で理解できる長さになっています。長い1文は、書いている本人も途中で構造を見失いやすく、文法ミスの温床になります。
事例2:難しい単語の誤用
Before:This phenomenon is ubiquitous in modern society and engenders a plethora of complications.
After:This problem is common in modern society and causes many difficulties.
改善理由:「ubiquitous」「engenders」「plethora」は難易度の高い単語ですが、文脈にやや不自然に使われています。基本的な単語に置き換えることで、意味が正確に伝わるようになりました。難しい単語は、使い慣れていないと文脈とのズレが起こりやすくなります。
事例3:入れ子になった関係代名詞
Before:The policy that the government, which many citizens who were affected by the previous law had criticized, introduced last year has proven effective.
After:Many citizens criticized the previous law. Last year, the government introduced a new policy, and it has proven effective.
改善理由:関係代名詞を2重に使うと、主語がどこにあるのか分かりにくくなります。文を分割することで、論理の流れが明確になりました。この手のミスは、書き言葉を意識しすぎるあまり、話し言葉的な明快さを失ってしまうことが原因です。
事例4:分詞構文の誤用
Before:Having considered various factors influencing the economy, it can be concluded that interest rates should be lowered.
After:After considering various factors, I believe that interest rates should be lowered.
改善理由:分詞構文の主語と、主節の主語が一致していませんでした(懸垂分詞と呼ばれるミスです)。主語を明確にすることで、文法的に正しい文になりました。分詞構文は便利な反面、主語のねじれが起こりやすい構文でもあります。
事例5:抽象的な単語の多用
Before:This issue has significant implications for various stakeholders in multiple dimensions.
After:This issue affects many people in different ways, such as students, parents, and teachers.
改善理由:抽象的な単語を並べるだけでは、具体性が伝わりません。誰にどう影響するのかを、具体的に書き直しています。抽象的な単語は、一見知的に見えますが、内容評価では逆効果になることがあります。
添削をしていると、この5つのパターンに当てはまる答案が非常に多いことに気付きます。これは、教育現場で答案を大量に見てきたからこそ分かることです。1つでも当てはまるものがあれば、次の英作文で意識してみてください。
本番で使える英文の考え方
本番で安全に使える英文を作るための、基本的な考え方を紹介します。この3つの考え方を頭に入れておくだけで、答案の安定感が大きく変わります。
考え方1:1文1メッセージ
1つの文には、1つの主張だけを入れます。伝えたいことが2つあれば、文を2つに分けます。
日本語では、1つの文にいくつもの情報を詰め込むことが自然に感じられます。しかし、英語では情報を詰め込むほど、構造が複雑になり、ミスのリスクが上がります。1文1メッセージを徹底するだけで、文法ミスは大きく減らせます。
考え方2:知っている単語で正確に書く
知らない単語を無理に使うより、知っている単語を正確に使う方が、確実に評価されます。
「この単語、正しい使い方か自信がない」と感じたら、その単語は使わないという判断も大切です。自信のない単語を使って意味がずれるより、確実に使える単語で正確に伝える方が、結果的に高い評価につながります。
考え方3:主語と動詞をシンプルに保つ
主語と動詞の関係が複雑になるほど、ミスが起こりやすくなります。
主語が長くなったり、動詞が離れた位置に置かれたりすると、書いている途中で対応が崩れてしまいます。特に本番の緊張状態では、シンプルな主語と動詞の関係を保つことが、安定した答案作成の鍵になります。
本番で使える安全な英文テンプレート
試験本番でそのまま使える、基本のテンプレートを紹介します。
I believe that (意見).
There are two main reasons for this.
First, (理由1). For example, (具体例1).
Second, (理由2). For instance, (具体例2).
For these reasons, I believe that (結論の再提示).
このテンプレートは、シンプルな構文の組み合わせでできています。難しい表現は一切ありません。
しかし、意見・理由・具体例・結論がすべてそろっているため、内容評価はしっかり獲得できます。構成の評価も、この流れに沿うだけで自然に満たされます。
授業でこのテンプレートを紹介すると、多くの受講生が「これでいいんですか」と驚きます。実は、これで十分なのです。テンプレートに頼ることを不安に感じる人もいますが、土台が安定しているからこそ、内容に集中して書くことができます。
読みやすい英文を書くコツ
最後に、読みやすい英文を書くための、実践的なコツをまとめます。
- 1文を20語前後に収める意識を持つ
- 接続詞(However, In addition, For example など)で流れを明確にする
- 同じ単語を繰り返してもよい(無理に言い換えない)
- 抽象的な単語を使ったら、必ず具体例を添える
- 書き終えたら、1文ずつ声に出して読み直す
特に「同じ単語を繰り返してもよい」は、意外に思う人が多いポイントです。言い換えを無理に狙うと、単語の誤用が増えます。正確さを優先しましょう。
学校の授業では「同じ単語を繰り返すのは良くない」と教わることが多いため、この考え方に驚く受講生は少なくありません。しかし、ネイティブが書く実用的な英文でも、同じ単語の繰り返しは頻繁に見られます。意味の正確さの方が、語彙のバリエーションよりも優先されるべきです。
試験直前チェックリスト
試験直前に、次のチェックリストで見直しましょう。書き終えた答案を、上から順に確認するだけで、防げるミスが大きく減ります。
- 1文が長すぎないか(読み返して意味が取れるか)
- 使った単語の意味を、自分が正確に理解しているか
- 主語と動詞の対応が崩れていないか
- 関係代名詞や分詞構文を、無理に使っていないか
- 意見・理由・具体例・結論がすべてそろっているか
- 難しい表現より、伝わる表現を選べているか
このチェックリストは、添削で頻出するミスをもとに作成しています。時間がない本番でも、最後の2〜3分だけでも見直しの時間を確保することを強くおすすめします。
まとめ
英検1級の英作文で高得点を取る人は、難しい英語を書く人ではありません。
正確で、伝わる英語を書ける人です。
今回紹介したポイントを振り返ります。
- 難しい構文は、ミスをしたときのリスクが大きい
- 採点者は、難易度ではなく正確さと伝わりやすさを評価している
- 高得点答案は、シンプルな文で論理が明確である
- 本番では、知っている単語と構文で、正確に書くことを優先する
- 意見・理由・具体例・結論の4点がそろっていれば、シンプルな英文でも高評価になる
これらは、35年以上の指導と、3,500名以上の答案添削から見えてきた、共通のパターンです。
次の英作文を書くとき、難しい表現を探すのをやめてみてください。代わりに、知っている単語で、正確に伝えることを意識してみてください。それだけで、答案の完成度は確実に変わります。
体験レッスンのご案内
ここまで、正確な英語で高得点を取るためのコツを紹介してきました。
とはいえ、自分の英作文のどこに問題があるのか、独学だけで気付くのは簡単ではありません。自分の答案を客観的に見ることは、書いた本人にとって想像以上に難しい作業です。
実際、添削の現場では、本人が気付いていない減点ポイントが必ずと言っていいほど見つかります。単語の使い方、構文の選び方、論理の飛躍など、客観的に見て初めて分かることが多いのです。
テソーラスハウスでは、35年以上・3,500名以上の指導実績をもとに、ネイティブ講師による丁寧な添削を行っています。
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