2.英検1級 英作文で点が伸びない理由|難しい単語より大切なこと

単語を使いこなす力が、合否を分ける。
よくあるミスについて解説します。

英検1級の英作文で点数が伸びない人は、
「今回はうまく書けたと思ったのに、結果を見ると思ったより低かった」
「内容には自信があったのに、なぜ点が伸びなかったのか分からない」
「英検1級らしい単語もたくさん使ったのに、評価されなかった」

と感じることがあります。

実際、受験生の中には、かなり難しい単語を使っているにもかかわらず、
英作文の点数が安定しない方がいます。

その原因の一つが、難しい単語を正確に使えていないことです。
英検1級の英作文だから、英検1級レベルの単語を使いたい。

そう考えること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、英作文で大切なのは、難しい単語をたくさん並べることではありません。

その単語を、正しいスペルで、正しい意味で、
正しい文脈の中で使えているかです。

テソーラスハウスのネイティブ講師陣も、
受験生の英作文を見てよく指摘するのがこの点です。

難しい単語を使っていても、スペルや使い方が間違っていると、
文章全体の意味が分かりにくくなる。

英検1級の単語は、正しく使えれば大きな武器になります。
しかし、あいまいなまま使うと、かえって失点の原因になることがあります。

英作文で必要なのは、単語の難しさを見せることではありません。
読み手に正確に伝わる英語を書くことなのです。

英検1級レベルの単語を使えば高得点になる、という誤解

英検1級の英作文では、環境問題、教育、経済、科学技術、国際関係など、
抽象度の高いテーマが出題されます。

そのため、多くの受験生は
「1級らしい単語を入れなければいけない」
「簡単な単語ばかりでは評価されないのではないか」
と考えます。

もちろん、高度な語彙を自然に使えることは強みです。

たとえば、environmental degradation、economic disparity、
political corruption、social instability などの表現を正しく使えれば、
答案に説得力が出ます。

ただし、それはあくまでも正しく使えている場合です。
単語帳で意味を覚えていても、英作文の中で自然に使えるとは限りません。

日本語訳だけを見て「だいたい同じ意味だろう」と考えて使ってしまうと、
英語としては不自然になることがあります。

英検1級レベルの語彙は、意味が細かく、
使われる場面も限られることがあります。
「崩壊」「腐敗」「低下」「堕落」

日本語ではどれも、何かが悪い方向に進むイメージがあります。
しかし、英語では使う単語が変わります。

この違いを理解しないまま難しい単語を入れると、
採点者には「語彙力がある答案」ではなく、
単語を無理に使っている答案に見えてしまいます。

英検1級の英作文では、難しい単語を使うことよりも、
正確な単語を選ぶことが大切です。

スペルミスは小さなミスではない

英作文でスペルミスをすると、
単なる書き間違いだと思う方もいるかもしれません。

しかし、英検1級の英作文では、スペルミスが何度も出てくると、
文章全体の信頼感が落ちてしまいます。

特に、エッセイの中心になる重要な単語を間違えると、
読み手は内容に集中しにくくなります。

たとえば、環境問題について書いているのに、
pollution、emission、sustainable、degradation などの
単語を何度も間違えてしまう。

政治や社会問題について書いているのに、
corruption、inequality、democracy、authority などの
語を不正確に書いてしまう。

このようなミスは、ただのスペルミスでは済まないことがあります。

読み手からすると、
「この受験者は、この単語を本当に理解して使っているのだろうか?」
という印象につながるからです。

1つや2つの小さなミスで、すぐに大きく評価が下がるとは限りません。
しかし、短い英作文の中にスペルミスが何度も出てくると、
文章全体が雑に見えてしまいます。

英検1級の英作文では、語彙力を見せる前に、
まず正確に書けることが大切です。

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よくある間違い① collapse と corruption

英検1級の英作文でよく見られる間違いの一つに、
collapsecorruption の混同があります。

どちらも日本語で考えると、何かが悪くなる、壊れる、落ちる、
といったイメージにつながるかもしれません。

しかし、英語では意味も使う場面も違います。
collapse は、「崩壊する」「倒壊する」「急に機能しなくなる」という意味で使われます。

たとえば、

  • the collapse of a building
  • the collapse of the economy
  • the collapse of a political system

のように、建物、経済、制度などが崩れるときに使います。

一方で、corruption は、「腐敗」「汚職」「堕落」という意味です。

たとえば、

  • government corruption
  • political corruption
  • corruption among officials

のように、政治家や役人の不正、権力の乱用、
組織の腐敗などについて使います。

つまり、「政府の汚職」と書きたいときに government collapse と書いてしまうと、
意味がずれてしまいます。

逆に、「経済の崩壊」と書きたいときに economic corruption と書いてしまうと、
自然な英語にはなりません。

どちらも英検1級らしい単語ではあります。
しかし、ただ知っているだけでは不十分です。

英作文で使うなら、
「この単語は何について使うのか」
「どの名詞と一緒に使われやすいのか」
「自分の文脈に本当に合っているのか」
まで確認する必要があります。

よくある間違い② discreet と discrete

次に注意したいのが、discreetdiscrete です。
この2つはスペルが非常に似ています。

しかし、意味はまったく違います。
discreet は、「慎重な」「思慮深い」「軽率なことをしない」という意味です。

人の判断や行動について使われることが多く、
a discreet decision
a discreet approach
のように使うことができます。

一方で、discrete は、「別々の」「個別の」「分離した」という意味です。
数学や科学、分析的な文脈で使われることもあります。

つまり、「慎重な対応」と書きたいときに discrete approach と書いてしまうと、
意味が変わってしまいます。

このようなミスは、採点者にすぐ伝わります。
スペルが似ているだけに、受験生にとっては惜しいミスかもしれません。

しかし、英作文の中ではかなり目立つミスです。

英検1級の語彙には、このように一文字違いで
意味が変わる単語が少なくありません。

難しい単語を使うときは、意味を知っているかだけでなく、
スペルを正確に書けるかまで確認しておく必要があります。

よくある間違い③ wary と vigilant

「慎重な」「用心深い」という意味で使える単語には、waryvigilant があります。
どちらも英検1級の英作文で使える表現です。

ただし、これらも使い方には注意が必要です。
wary は、「警戒している」「用心している」という意味です。
何か危険や問題がありそうだと感じて、注意しているニュアンスがあります。

たとえば、
people are wary of online scams
のように使えます。

一方で、vigilant は、「油断せず警戒している」「常に注意を払っている」という意味です。
wary よりも、継続的に注意を向けている印象があります。

たとえば、
governments should remain vigilant against cybercrime
のように使うことができます。

どちらも便利な単語ですが、スペルミスも起こりやすいです。
wary を wery と書いてしまうケースもあります。

このようなミスをするくらいなら、
場合によっては cautiouscareful を使った方が安全です。

英検1級だからといって、すべての文で難しい単語を使う必要はありません。
確実に正しく使える単語を選ぶ判断力も、英作文では重要です。

よくある間違い④ clash, crash, crush

一見簡単に見える単語でも、英作文では混同が起こります。
特に注意したいのが、clash, crash, crush です。

日本語のカタカナでは、どれも「クラッシュ」のように聞こえるかもしれません。

しかし、英語では意味が違います。
clash は、「衝突する」「対立する」という意味です。
意見、価値観、文化、集団などの対立についてよく使われます。

たとえば、
a clash of cultures
a clash between two political groups
のように使えます。

crash は、「衝突事故を起こす」「墜落する」「急落する」という意味です。
車、飛行機、コンピューター、株価などに使われます。

たとえば、
a car crash
a plane crash
the stock market crashed
のように使います。

crush は、「押しつぶす」「粉砕する」という意味です。
物理的に強い力でつぶすイメージがあります。

たとえば、
crush a can
crush hopes
のように使えます。

車の事故について書きたいときに car clash と書いてしまうと不自然です。
この場合は car crash が自然です。

一方で、文化の対立について書くなら、crash ではなく clash が合います。
このような単語は、日本語訳だけで覚えると混同しやすくなります。

どの名詞と一緒に使われるのか、
どんな場面で使われるのかまで確認しておく必要があります。

難しい単語より、正確な単語を選ぶ方が強い

英検1級の受験生ほど、難しい単語を使いたくなります。
「せっかく覚えた単語だから使いたい」
「簡単な単語ばかりだと1級らしく見えないのではないか」
「高度な語彙を入れた方が評価されるのではないか」
そう考えるのは自然です。

しかし、英作文では、難しい単語を使うこと自体が目的ではありません。
目的は、自分の主張を読み手に正確に伝えることです。

もし難しい単語を使って意味がずれるくらいなら、
少しシンプルな単語で正確に書いた方がよい場合があります。

discreet のスペルに自信がないなら cautious を使う。
vigilant の使い方が曖昧なら careful を使う。
degradation の使い方が不安なら decline や damage など、文脈に合わせてより確実な単語を選ぶ。

これは、レベルを下げるということではありません。
むしろ、英作文では、自分が本当に使える語彙を選ぶことが大切です。

難しい単語を無理に使って失点するよりも、
確実な単語で論理を通した方が、答案としてはずっと強くなります。

英作文で見られているのは、語彙の難しさだけではない

英検1級の英作文では、語彙力はもちろん重要です。
しかし、採点で見られるのは語彙の難しさだけではありません。

大切なのは、答案全体として読みやすく、論理が通っていて、
主張が明確に伝わることです。
どれだけ高度な単語を使っていても、

  • 主張があいまい
  • 理由がつながっていない
  • 単語の使い方が不自然
  • スペルミスが多い
  • 文脈に合わない表現が多い

このような答案では、高得点につながりにくくなります。

反対に、語彙が少しシンプルでも、正確で自然な英語で、
論理がしっかりしていれば、読み手には伝わりやすくなります。

英検1級の英作文で本当に必要なのは、難しい単語を見せることではありません。
正確な英語で説得することです。

前回の記事で扱った「一つの立場を最後まで貫く」というルールとも、
これはつながっています。

主張が一貫している。
理由が論理的に並んでいる。
さらに、語彙が正確に使われている。

この状態になって初めて、英作文は安定して高得点を狙える答案になります。

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スペルミスを減らすために普段からできること

最後に、英検1級の英作文で語彙ミスやスペルミスを減らすには、
どうすればよいのでしょうか。

大切なのは、単語を「見て覚える」だけで終わらせないことです。
英作文で使う単語は、実際に自分の手で書けるようにしておく必要があります。

自動修正に頼らず、手書きで書く練習をする

普段からWordやスマートフォンの自動修正に頼っていると、
スペルを正確に覚えていなくても文章が完成してしまいます。
しかし、試験本番では自分の力で書かなければなりません。

特に英検1級の英作文では、時間内に自分の考えをまとめながら、
スペルも正確に書く必要があります。

そのため、日頃から手書きでエッセイを書く練習をしておくことが大切です。
手で書くと、自分がどの単語をあいまいに覚えているかが分かります。
「読めるけれど書けない単語」
「意味は分かるけれどスペルが不安な単語」
「毎回同じところで間違える単語」

こうした弱点を、本番前に見つけておくことが重要です。

よく使うテーマ語彙は、例文ごと覚える

英検1級の英作文では、環境、教育、経済、医療、テクノロジーなど、
よく出るテーマがあります。

それぞれのテーマで使える単語を覚えておくことは大切です。
ただし、単語だけで覚えるより、例文ごと覚える方が実用的です。

たとえば、corruption なら、単に「腐敗」と覚えるのではなく、
government corruption
political corruption
corruption among officials
のように、実際によく使われる形で覚えます。

collapse なら、
economic collapse
the collapse of a system
the collapse of public trust
のように、どの名詞と結びつくのかを確認します。

このように覚えておくと、本番で不自然な組み合わせを作りにくくなります。
英作文で使える語彙とは、単語帳で意味を知っている語彙ではありません。
文の中で正しく使える語彙です。

似ている単語をまとめて整理する

スペルや音が似ている単語は、セットで整理しておくとよいでしょう。
たとえば、

  • collapse / corruption
  • discreet / discrete
  • wary / weary
  • clash / crash / crush
  • affect / effect
  • economic / economical

このような単語は、別々に覚えるより、
違いを比較しながら覚えた方が安全です。

特に英検1級の英作文では、社会問題について書くため、
似たような抽象語が多く出てきます。
「なんとなく似ている」
「日本語訳が近い」
「カタカナにすると同じように聞こえる」

こうした単語こそ、ミスが起きやすいポイントです。
自分だけの「間違いやすい単語リスト」を作っておくと、本番前の見直しにも役立ちます。

ディクテーションで“聞けるけど書けない”を減らす

ディクテーションも、スペルミス対策として有効です。
単語は、聞いて分かる、読んで分かる、意味が分かる、
という状態でも、正確に書けるとは限りません。

ディクテーションをすると、聞いた単語を自分で文字にする必要があります。
そのため、自分がどの単語のスペルをあいまいに覚えているかが分かります。

特に、英検1級レベルの抽象語は、見たときには分かっても、書くと間違えることがあります。
英作文で使いたい単語ほど、実際に書いて確認する。
これは地味ですが、本番での失点を減らすためにはとても大切です。

英作文の弱点は、自分では見つけにくい

英検1級の英作文で点数が伸びないとき、多くの人は
「もっと難しい単語を覚えなければ」
「もっと高度な表現を使わなければ」
と考えます。

しかし、本当の原因はそこではないかもしれません。

単語のスペルが不正確だったり、文脈に合わない表現を使っていたり、
似た単語を混同していたりすることで、答案全体の評価が下がっている可能性があります。

そして、こうしたミスは自分では気づきにくいものです。
自分では自然に書けていると思っていても、ネイティブの目から見ると不自然に見える。
意味は通じているつもりでも、実際には別のニュアンスで伝わっている。
難しい単語を使ったつもりが、かえって文章を分かりにくくしている。

このようなことは、英検1級の英作文ではよくあります。

そのように感じている方は、一度、自分の英作文をプロの目で確認してみてください。

ネイティブ講師が、スペルミス、文脈に合った単語の選び方、
ニュアンスの違い、論理展開まで細かく確認し、合格に近づく英作文へと修正していきます。

英検1級の英作文は、難しい単語をどれだけ使うかではなく、
正確に伝えられるかで差がつきます。

英作文で伸び悩んでいる方は、ぜひ一度、
テソーラスハウスの添削体験をご利用ください。

英検1級合格に必要なのは、やみくもな努力ではなく、
正しい方向に直すことです。