当校の英検1級二次スピーチ対策クラスの受講生の方が困っていることの1つに、英検1級の二次面接試験では、英語力のみならず、「時事問題に対する洞察力を求められること」があります。
お仕事や育児で時間のない方が、時事問題からスピーチで使う例を探すのは容易ではありません。
そこでテソーラスハウスのレッスンでは、ある事実を異なった複数の角度から考える方法も学んでいただいています。そうすることで、自分の意見をさまざまな角度からサポートすることができ、面接官からのいじわる(?)質問にも対処することができるようになります。
今日はその方法について少々触れてみたいと思います。
○自殺の原因を4つの側面から考える
【事実】
- 日本の自殺者が3万人を超えたのは1998年
その後10年間で30万人 → 三重県津市の人口と同じ - 日本の自殺率は他の先進諸国に比べて高い
米国の自殺率 : 日本の1/2
英国の自殺率 : 日本の1/3
韓国の自殺率 : 日本と同率
(4月23日毎日新聞 姜尚中・清水康之対談 参照)
さあ、この事実の原因を4つの角度から考えてみましょう。
1.経済
(1)金融危機
世界同時不況、100年に1度と言われる大不況になり、失業者が増えたり将来を悲観する人が増えた。
2.政治
(1)税金の不適切な使われ方
北九州で生活保護を打ち切られ餓死した男性が最後に残した言葉
「おにぎりが食べたい・・・」
3.社会
(1)自己責任を負わされる風潮
「社会や家族に迷惑をかけてすみません」といって自殺
4.日本的文化
(1)昔は自殺によって自己の尊厳を守ることができた
封建時代の切腹、自決は男らしい潔さの証だった
以上のように、経済、政治、社会、日本的文化の側面から原因と例を考えてみました。
こうすることで、
- 「日本の自殺率はなぜ高いのか?」というトピックについて、3と4を使うことができる。
- 「日本の自殺率を減らすための方策」というトピックについて、2と3を使うことができる。
- 面接官が「他に自殺率が高い理由がありますか?」と質問した時に、1を使うことができる。
今回は1つずつ例をご紹介しましたが、新聞やテレビをご覧になりながら、このニュースはこの側面の例で使える、などと考えてみてはいかがでしょうか?
その際、例に対してご自分の意見を持つこともお忘れなく!
余談になりますが、日本よりも失業率が高いイタリア(6.8%)ですが、自殺率は日本よりも低い(1/3以下)というデータがあります。その理由の1つとして、家族と友達の絆が日本よりも強いということが言われています。5月中旬の毎日新聞記事で紹介されていた内容ですが、イタリアでは失業しても家族が何も言わず温かく見守る、収入がなくてもパスタだけの自宅パーティで友達との時間を楽しむことができる、など。ふりかえって日本の社会はいかがでしょうか?