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2016年 第3回合格 森田茂夫

森田茂夫 2017年

努める者は何時(いつ)か恵まれる(人見絹枝)

 

明治40年生まれの日本人女性初のオリンピックメダリスト(100m、200m、走幅跳びの元世界記録保持者)の言葉です、24歳で亡くなっているので、20代の頃の言葉と思いますが、若くても、偉い人は違いますね。受験中の座右の銘にしていました。

 

1 英検1級を目指した動機

私が英検1級を受験しようと思ったのは、2015年4月頃だったと思います。当時、通っていた英会話学校では一番上のレベルだったので、何か自分のレベルを客観的に示せるものがないかと思って、英検1級を受けてみることにしました。ちなみに、当時は60歳でしたが、62歳の今も現役の弁護士です。

 

2 1次試験

英検1級は私が思っていた以上に難しく、4回目の挑戦でようやく合格することができました。1回目は不合格Aの下の方、2回目は不合格Aの真ん中、3回目は不合格Aの上の方(1点差で不合格)、そして、4回目で合格なので、着実に力をつけて行ったと思います。

1次試験については、私は独学ですが、使った教科書は、①語彙:「単熟語EX」(The Japan Times)、②読解:「長文読解問題120」(旺文社)、③リスニング:「リスニング問題150」(旺文社)、④作文:「英作文問題」(旺文社)、「英作文予想問題Ⅱ」(テソーラスハウス)、「英作文・スピーチ予想問題」(テソーラスハウス)です。これに、⑤2015年度版と2016年番の「英検1級過去6回問題集」、⑥「英検1級予想問題ドリル」(いずれも旺文社)を使いました。

 

1次試験の勉強のやり方で一番参考になったのは、「独学で英語の達人」というサイトにある「英検1級合格体験記・英検1級対策法」のコーナーです。

ここに書いてあるとおりに勉強すればよいと思いますが、私自身が感じたことを付け加えれば、語彙問題については、上記①についているCDを、本を見ながら聞く(例文もいっしょに聞くことが必須です)、試験3週間前になったら、CDは聞かずに、ユニット1、2、9のみを例文を参照しながら丸暗記するということでよいと思います(完全に丸暗記することはできませんが8割くらいは丸暗記できます)。これで、語彙問題の70%程度はとれます。語彙問題については、これ以上手を広げないことが大事です。

 

読解については、毎日英文を読むことが大事ですが、「独学で英語の達人」にもあるように、優しめのもの8割、難しいもの2割くらいの比率で読むのがよいと思います。私の場合は、前者はジャパンタイムスの日本関連の記事、後者は上記②⑤⑥にある読解問題でした(②⑤⑥は1回だけでなく、2回、3回と読むとよいです)。Time誌やNewsweek誌のような難しい雑誌を読むことは不要と思います。

また、読解の中の「長文の内容一致選択」問題については、同じく「独学で英語の達人」にあるように、問いの1問目を読み、そのあと、1問目の答えを見つけるために本文を読む、答えらしきものが見つかったら、その時点で、選択肢から正解を選ぶ、その後、また、2問目の問いを読んで、答えを見つけるために本文を読むというように区切って読んでいった方がよいと思います。

4回目の1次試験では、読解は全問正解でしたから、上記のやり方で間違っていないと思います。

 

英作文ですが、これは自分で答え合わせをすることができないので、テソーラスハウスのオンライン添削コースを利用しました。大きく直されるということがあまりなかったので、自分の拙い英文も合格から大きく外れていることはないと思い、少しほっとしました。

 

なお以前は、読解の配点が、英作文の配点よりずっと多かったのに、2016年度の第1回から、読解、英作文の配点が同じになったようです。しかし、読解は英語の能力の基礎ですし、また、かける時間も読解の方が英作文よりずっと多いので、これは改悪です。努力する時間に見合った配点にして欲しいと思います。

 

3 2次試験

2次試験は3度目で合格することができました。以下はその軌跡です。

(1)1回目

4度目の1次試験(この時に1次試験に合格)が終わった後、すぐに2次試験の準備に取りかかりました。しかし、準備と言っても2次試験がどんなものかすら分かっていなかったので、「二次試験・面接 完全予想問題」(旺文社)を購入し、2次試験がどんなものかを大体把握すると同時に、そこに載っているスピーチの問題と解答を読み、スピーチの練習をしました。

それと同時に、1次試験のときに購入した、「英作文問題」、「英作文予想問題Ⅱ」、「英作文・スピーチ予想問題」と上記の「二次試験・面接 完全予想問題」の中にあるトピックすべてについて、日本語で簡単に2つの理由を書いたレジメのようなものを作ってみました。2つの理由は、自分で考えたものもありましたが、ほとんどはこれらの本に載っていたものです。例えば、次のような感じでまとめました。

 

トピック

How can Japan improve its international image?

理由

○ 政府が金を出して広報活動をする。

○ 途上国を援助してインフラを整備する。その国の経済が向上し、貧しい人が少なくなり、日本のイメージがよくなる。

 

そして、携帯のストップウォッチを使い、2分で終わるようスピーチの練習をしました。電車の中でも、声は出しませんでしたが、ストップウォッチと自作のレジメを使ってスピーチの練習をしました。

また、2次試験はまったく経験がないので、テソーラスハウスの2次試験の直前模試に2回参加しました。模試では非常に緊張しましたが、いい経験になりました。

 

試験会場では、日本人の女性(30代位)とネイティーブの男性(40代~50代位)が試験官でした。

5つのトピックの中に、「英作文予想問題Ⅱ」(テソーラスハウス)に載っていた、「Agree or disagree: The government should spend more money on public works.」という問題があったので、不十分な準備ながらも必死になってスピーチをし、また、質問に対しては、ときどき詰まりながらも、必死になって応答しました。詰まりながらも、なんとか会話になっていたので合格したかなと思ったのですが、結果は、SHORT SPEECH 7点、INTERACTION 6点、GRAMMAR AND VOCABULARY 6点、PRONUNCIATION 4点、CSEスコア594点(合格基準602)で不合格。

一番びっくりしたのは、PRONUNCIATION 4点です。今まで、自分の発音がこんなに悪いと思ったことはなかったので。このことを今でも通っている英会話学校(といっても、月に2~3回しか行っていませんが)のネイティーブ講師に話したところ、発音というより、イントネーションが悪いのではないかと言われました。イントネーションとは文レベルでの音の高低(抑揚)です(単語の中での音の強弱がアクセントです)。つまり話し方に抑揚がないということです。

 

また、余裕がなく、怒鳴るような感じで必死にスピーチしたのも、よくないようです。ネイティーブ講師の前で、スピーチをしたところ、もう少し、穏やかにスピーチをした方がよい、結局はコミュニケーションなのだから、と言われそのとおりだと思いました。

 

(2)2回目

次は絶対に合格しようと、次のことを行いました。

1 ショートスピーチがきちんとできるよう、テソーラスハウスの英検1級2次スピーチ対策コースに通う。

2 「レアジョブ」というオンライン英会話サイトで、1日1回、必ずレッスンを受ける。

講師はフィリピンに住んでいるフィリピン人で、スカイプを通して1回25分のレッスンを行います。1ヶ月で約6000円と非常に安価ですし、フィリピン人の発音はごく稀に疑問なことがありますが、99%問題ありません。私は、レアジョブが用意しているDAILY NEWS ARTICLEという教材を使ってレッスンを受けていましたが、予習をしておくとよい効果的です。レアジョブは、会話能力の向上のために行いました。

3 「例解 和文英訳教本」(プレイス)を買って瞬間英作文を行なう。

瞬間英作文というのは、左頁に日本語、右頁に(日本語を訳した)英語がある本を買ってきて、日本語を英語で言い、その後、右頁の英語を確認して音読してみるというようなことを言います。これも、会話能力の向上のために行いました。

4 「英語耳」(アスキー・メディスワークス)を買って発音の練習をする。

ただし、この本のとおりにやったからと言って、急に発音がよくなるわけではないので、2章~4章のみをくり返しやり、発音の違いを知るという程度でよいと思います。また、発音記号が分かるようになるので、英検1級の試験にすぐ役立つかは別として、今後、英語の勉強をしていくうえで有益と思います。

5 「英作文問題」、「英作文予想問題Ⅱ」、「英作文・スピーチ予想問題」、「二次試験・面接 完全予想問題」に載っているスピーチの模範解答を、はっきりと、イントネーションを付けるように努力して音読をする。

英検1級で求められているPRONUNCIATIONとは、例えば、æ、ɑ 、ʌの違いを正確に発音できるというようなことではないと思います。「英語耳」で発音の練習をした結果、æ、ɑ 、ʌの違いは分かるようになりましが、それだけでは、例えば、problemという単語の「o」の部分が、æなのか、ɑなのか、ʌなのか分かりませんよね。これが分かるようになるためには、æ、ɑ 、ʌの違いを理解した上で、多くの英文を聞き、æはどの単語、ɑはどの単語、ʌはどの単語ということを耳で理解する必要があります。それは何年もかかることで英検1級レベルの話ではありません。PRONUNCIATIONの中で一番重要なのは、イントネーションであるということよいと思います。

 

上記の1~5のうち、1のテソーラスハウスでの英検1級2次スピーチ対策コースについて詳しくお話ししたいと思います。これは、1つのクラスに6名の生徒がおり、毎回与えられる6つのトピックについて予習をし、6人が1つずつスピーチをし、その後、ネイティーブ講師、小林先生との質疑応答、講評という順序でレッスンを行います。もちろん、すべて英語です。その後、その場でさらに6つのトピックが出され、同様に、スピーチ、質疑応答、講評を行います。最後に小林先生が、生徒一人一人に講評を行いますが、これは日本語です。

1つのトピックについて簡単な予習をし、メモ程度の英文を書こうとすると、1つのトピックで40分~1時間近くの時間がかかります。時間がなくて、6つのトピックすべてについて予習ができないことも多々ありましたが、できるだけすべてのトピックについて予習をするように心がけました。

そして、レッスンが終わって自宅に帰ってくると、その日、あるいは別の日に、レッスンの結果をもとに、6つのトピックについてスピーチを完成させます。ただし、完成させると言っても、完全なスピーチ原稿を作るのではなくて、少し詳しいメモというような形で完成させるだけです。また、このトピックはよく分からない、というようなものも稀にあったので、そのようなものはカットしました。

たとえば、次のような様な形でまとめました。

 

(トピック)

What is leading to the increasing number of working poor?

 

(回答)

Chinese, South Korean, and Taiwanese companies sell cheap and good quality products to countries in the world including Japan.

Japanese companies employ part-time, contract, and dispatched workers instead of full-time workers to make cheap products.

But their salaries are low and they cannot get bonuses.

The number these of workers are increasing.

 

② Workers in developing countries are working at low pay, therefore it is very difficult for Japanese unskilled workers to find high-income jobs.

It would be a bit harsh to say this but it is one reason to increase the number of working poor that unskilled workers do not make effort to improve their skills.

For example, if they can get certain credentials, they have high possibility to be hired as full-time workers.

 

テソーラスハウスでのレッスンの他にも、1次試験の英作文のときに使った「英作文問題」、「英作文予想問題Ⅱ」、「英作文・スピーチ予想問題」、1回目の2次試験のときに使った「二次試験・面接 完全予想問題」にあるスピーチについて、上記と同じような形でまとめました。

多くの場合、レッスンで行なった、あるいは本の中にある回答、理由をそのまま持ってくればよいのですが、あまりに自分の意見に反するときは、自分の意見で、英文を書いた方がよいと思います。その英文は、文法的に完全でない場合も多いですが、2次試験では用意した回答を読むのではなく、その場で英文を考え、しゃべるのですから、作成した英文が完全でなくてもまったく構いません。

なお、下線を引いた部分は、大体の概要とでもいうべきもの、太字はキーワードとでもいうべきものです。全体を読まなくても、下線部分、太字部分を読めば概略が分かるようにしました。

 

このようにして、私の場合、126のトピックについて、上記のような形でショートスピーチの内容を用意しました。

ただ、時間がなくて、下記のような形でまとめたものもあります。きちんとした文章になっていませんが、これでも構いません。

 

(トピック)

What are the best ways to cope with an aging society?

 

(回答)

① health care cost

to build nursing home

∵ families to take care of old people is decreasing

It is necessary to raise tax rate especially consumption tax.

∵ raise consumption tax rate by 3 percent

tax revenue increases by 6 trillion yen

 

② increase birth rate

Increase the number of young people

France   by providing monetary incentives such as tax breaks and monthly bonuses

the Japanese government should follow suit and start a similarly aggressive scheme.

 

このようにしてまとめたスピーチ集を使い、自宅、あるいは電話の中で、携帯のストップウォッチを使いながら、スピーチの練習を行いました。具体的には、まず、上記の「回答」のところを読み、内容を確認した後、今度は「回答」を見ないで、2分間でスピーチをしました。自宅でスピーチをするときは、声を出して行い、電車の中では声を出さないので頭の中だけでスピーチをします。126のトピックについて、5回スピーチを行いました。5回位は必要と思います。

 

なお、小林先生が言っていましたが、スピーチ原稿を作るのは、原稿を暗記するためではなく、情報の引出しを頭の中に作っておいて、スピーチをしたり、試験官から質問をされて回答する際に、その引出しから情報を取り出すためです。私が126のスピーチ原稿を作ってスピーチの練習をしたのも、この情報の引出しを作るためです。暗記するためではありませんから、模範解答のような完全な原稿を作る必要はありません、完全な原稿を作ろうと努力したら、時間がかかり過ぎて、126の原稿を作ることは不可能です。

また、情報の引出し作りですから、スピーチ原稿は最低でも80くらいは必要だと思います。

 

なお、テソーラスハウスで、小林先生、あるいはネイティーブ講師が言っていたことの中で、他に印象に残っているのは下記のようなことです。

■ 笑顔で、自信をもって話す。全く同じ内容を話したとしても、笑顔、声の大きさ、自信によって、相手に与える印象が全く違う

■ 大きな声で、いい姿勢で。アイコンタクトが大事。

■ ボディアクションもよい。面接もコミュニケーションなので。

■ はっきり発音する。

■ スピーチの前に、あいさつ後の日常会話があるが、ここから試験が始まっているので、できれば関心を引くようなことが言えればよい。

■ 自分の考えで話す。質問を受けて自分の考えで切り返すこと、

■ 試験官からの質問に対しては,長くなくてもいいので,聞いていることにストレートに答える。

■ 沈黙しない。文法の間違い、発音を気にして黙るより、間違っていても絶えず口を動かしているほうがずっとよい。

■ サポートの主張は,2点にしぼる。時間的にもそれで十分。主張は首尾一貫。

■ 2つの主張は違うポイントからのものがいい。例えば、一つ目が政治に関するものなら、二つ目は経済に関するものがいい。

■ パーソナルな例を入れるといい。専門がある人は、その点からの経験を入れてもよい。

 

試験が近づいてからは、テソーラスハウスで2次試験のための模擬試験を2回受けました。

 

このように対策を立てて勉強したので、今度こそは受かりたいと2次試験に臨みました。

試験会場では、日本人の女性(30代位)とネイティーブの男性(40代~50代位)が試験官でした。

「いつも日曜日は何をしていますか」というようなことを聞かれ、「英語の勉強をしています」というのでは平凡だと思ったので、「数週間前の週末に、韓国の仁川(インチョン)弁護会の弁護士が20人位日本に来たので、他の日本の弁護士とともに交流をし、楽しい時を過ごすことができました」というようなことを答えました。

ただ、いつもの生活を聞かれているのに、興味ある話題にしようと、特定の週末のことを持ち出したのは少し強引で、いつも自然体で生きているつもりの私にとっては、自分のライフスタイルに反するものでした。ここはもっと自然に、「受験中なので日曜日は英語の勉強をしています。62歳になって受験生というのは大変です」(私)、「なぜ、62歳になって英検1級を受けようと思ったのですか」(試験官)、「韓国の弁護士との交流もありますし、日本の人口減少で外国人労働者が今後増えてくるでしょうから、外国人のクライアントを増やしたいと思ったからです」(私)、というような会話であれば自分に合っており、試験の流れに乗れたのではないかと思います。

 

その後、5つのトピックから1つを選ぶことになりましたが、その中に、「国内問題(domestic issues)は、国際問題(international issues)に優先すべきか」というトピックがありました。

自分にとっては不自然な流れで、韓国の弁護士との交流を持ち出したせいか、この交流にこだわってしまい、このトピックを選びました(他に、事前にやったトピックもなかったので)。そして、「国際問題が優先すべきだと思います。なぜなら、1つには、私の場合、弁護士としての仕事も大変ですが、韓国の弁護士との交流は大事で、この交流にはいつも参加しています。お互いに理解し合うことが世界平和にも役立つと思います(もう一つの理由は忘れました」というような答えをしました。

そうしたら、ネイティーブの試験官から、「あなたは、priority(優先)という単語をどう理解していますか」と質問され、「あれ、トピックの趣旨を外したかな」と一気に焦りました。その後のやり取りは覚えていませんが、最後にネイティーブの試験官が、「あなたが言っていることは、自分のことですが、もっと公的なことで、国内問題と国際問題を比べることがありませんか」というような質問をされ、何か言おうとしたときに、タイムキーパーの人が、時間が来たという合図をしました。ネイティーブの試験官は優しい人で、「続けてください」と言ってくれたのですが、内容が思い浮かばず、「申し訳ありません。結構です」というようなことを言って試験が終わりました。

 

試験後、「スピーチの趣旨を取り外したかもしれない、落ちたかな」と思いました。このようなトピックでは何を言うべきか、数日間思いつきませんでしたが、その後、global warmingのことでも言って、途上国の産業育成のためには石油、石炭による発電が必要だが(国内問題)、global warmingは人類の存亡にかかわる深刻な問題なので(国際問題)、・・・の理由から国際問題が優先されるべきである、というような議論でもすればよかったのかと思いました。

 

そして結果は、不合格。しかも点数が、SHORT SPEECH 3点、INTERACTION 4点、GRAMMAR AND VOCABULARY 5点、PRONUNCIATION 5点、CSEスコア561点という惨憺たるものでした。

「結構勉強したのに前回よりずっと悪い」と思い、一瞬、今後どうしたらいいのか分からなくなりましたが、この頃に読んだ合格体験記の中に、「試験官も人間であり、受験生のスピーチの出来が悪ければ、他の部分の出来も悪く見えるものだ」というようなものがあり、そのとおりだと思いました。

SHORT SPEECH 3点というのは、ほとんど最低の点数で、スピーチの趣旨を完全に取り違えていたためです。これは仕方ないとして、勉強したにも関わらず、他の分野での点数も悪いのは、スピーチの失敗に私が動揺して、自分を見失ったのと、スピーチの出来が悪いので、「この人の英語力は大したことはない」と試験官が思ったからだと思います。

 

(3)3回目

このように考えて、勉強のやり方は変えませんでした。

勉強をしたのに失敗をすると、自分の勉強のやり方が悪かった、教材が悪かったと考えて、新しい教材にしたり、違う英検1級受験校に通ったりする人がいると思いますが、これは最悪です。定評のある教材(どこの本屋さんでも売っているものは定評のある教材です)を使っていれば、その教材を変える必要はありませんし、定評のある英検1級受験校(私の場合はテソーラスハウス)に行っていれば、違う学校に行く必要もありません。

また、作成した私のスピーチ集は、すでに述べたようにメモ程度のものですし、作成する時間が足りなかったため、英文の文章になっていないものもありますが、これを完全な原稿にしようとしたり、完全な文章にしようとして時間を使うのは無駄です。そんなことをやるより、スピーチ集を使ってスピーチの練習をしたり、これまでどおりの勉強をする方がずっと効率的です。

なお、テソーラスハウスにもう一度行こうかとも考えましたが、これ以上、スピーチの数が増えても対応できないし、また重複するスピーチも多く出てくると思い、次の試験がわずか3ヶ月後ということもあり(3ヶ月なんてあっという間です)、今回は独学で勉強することにしました。

 

ただ、これまで1日1回受けていたレアジョブのレッスンを、朝と夜の2回受けることにしました。1回のレッスンのための予習が20~25分、レッスンが25分なので、2回やると、時間的にも精神的にも(英字新聞を読むのは疲れませんが、英語のレッスンを受けるのは精神的に疲れます)非常にきついのですが、英会話の力をつける(あるいは慣れる)ために必要と思い、あえて2回にしました。

 

その後、試験が近づいてきたため、テソーラスハウスで2次試験のための模擬試験を受けようかとも思いましたが、小林先生に、前回の試験で落ちていたのか、と思われるのが嫌で(かっこ悪いところは見られたくないのです)、別の学校で模擬試験を2回受けました。小林先生、申し訳ありません。

この時点で、自分の作ったスピーチ集を使った練習は、さらに5回以上やっていたと思います(通算すると10回以上になります)。

 

ところが、最初の模擬試験の出来が思いのほか悪かったので少し焦り、その原因を考えたのですが、スピーチの練習をする際、いつも、まず自分の作成した回答を見て内容を理解し、その後、回答を見ずに2分でスピーチをするということをしていたためかと思いました。この方法は、情報の引出しを作るためにはよい方法で、スピーチ練習も大半はこのような形でよいと思いますが、本番は、回答を見て内容を理解した上でスピーチをするわけではありません。

そこで、試験まであと1週間しかありませんでしたが、スピーチ集の問題だけを見てスピーチをすることにしました。自宅でも電車の中でも、問題だけを見て2分間のスピーチをしました。この方法だと、2分で1つのスピーチの練習ができます。精神的にはかなりきつかったですが、時間がある限りやりました。

 

また、2分間のスピーチをする前に、1分間の考慮時間があります。この1分間の考慮時間のうち、20~25秒くらいで5つのトピックから1つを選び、10秒くらいでトピックの理解に誤解がないか確認し、残りの時間で2つの理由を考えるということになりますが、この時間配分も練習しておく必要があります。とくに、1つのトピックを選び、そのトピックの理解に誤解がないか確認するという作業は非常に大切で、ここを間違えると、前回の私のように、一生けんめい勉強したのに、SHORT SPEECHが3点ということになってしまいます。

この練習のため、ネットから過去の問題を印刷し、本番さながらに、いきなり5つのトピックを自分に示し、トピックの選択、内容に誤解がないかの確認、そして理由を2つ考えるということを1分以内に行いました。この練習を何度も行いました。

 

試験2週間前になったら、上記のように、自分が作ったスピーチ集の問題だけを見て2分のスピーチをする、過去のスピーチ問題を本利用して、1分間の考慮時間の時間配分を感覚としてつかむということは、ぜひ行った方がよいと思います。

 

そして、試験当日。今回は、ブレザーを着て、初めてネクタイをしていきました。ネクタイをしてもしなくても、試験官の印象には関係ないと思いますが、ビジネスマンの場合、仕事ではいつもネクタイをしていますから、ネクタイをした方が戦闘モードになると思います。

面接の試験をする教室まで係の人に案内され、次は自分の番だと緊張して椅子に座っていると、「緊張しますよね」と私の次に試験を受ける人が話しかけてきました。私は、「そりゃあ(緊張)しますよ」と言いましたが、この一言で、少し緊張がほぐれた気がします。人にもよるのでしょうが、一言程度は、他の受験生に話しかけてあげるといいかもしれません。ただし、ほんの一言、二言だけです。

 

試験会場では、日本人の女性(30代~40位)とネイティーブの男性(30代~40代位)が試験官でした。このネイティーブの男性が丁寧な人で、普通は受験生の机の上に置いてある5つのトピックが書いてあるカードを、自分の席から私のところまで持ってきてくれました。

そして、試験開始。5つのトピックのうち、私のスピーチ集の中にあり、何回も練習していた「Can terrorism ever be eliminated?」というものがあったので、すぐにこのトピックに決め、トピックの理解に誤りがないかを確認しました。ちなみに、このトピックは、以前にテソーラスハウスで勉強したときの教材にあったものです。

さすがに何度もやっていたトピックですので、とくにつかえることもなく、ほぼ2分で終了しました。

結論は「根絶できない」、理由は「①テロの原因は貧困だが、貧困は根絶できない、②1匹狼型のテロは、誰がテロリストか、どこにテロリストがいるのか分からないから根絶し難い」というようなことを言ったと思います。

その後の質問は、「質問:貧困以外のテロの原因があるか。回答:テロリストはイスラム教徒だが、イスラム教徒は過去にヨーロッパ諸国のようなキリスト教徒に侵略されているから、その復習という意味もあり、歴史も一つの原因である」「質問:国際組織はテロの撲滅に熱心か。回答:国連は、最大の国際組織だが、テロの撲滅、貧困の撲滅に積極的である」「質問:テロによる影響にどのようなものがあるか。回答:アメリカのドナルド大統領は、テロを理由に移民・難民の入国を拒否しており、テロリズムにより、移民・難民にとって厳しい時代になっている」というようなことを話した。

スピーチ集で作った引出しから情報を引き出したり、また、もともと関心があるトピックだったりしたことから、つかえることもなく順調に回答できたと思います。

 

試験後、家に帰ってから、妻には「今回はよく知っている問題だったのでよくできた。95%くらいは受かっていると思うよ」とは言ったものの、実際は合格しているどうか不安はありました。

発表当時、ネットでみたところ合格。ホッとしました。

そして、数日後、試験結果が送られてきましたが、その結果は、SHORT SPEECH 9点、INTERACTION 9点、GRAMMAR AND VOCABULARY 8点、PRONUNCIATION 8点、CSEスコア643点という、自分にとっては出来すぎともいえるものでした。

 

2回目のスコアが酷くても勉強法を変えなかったこと、126のスピーチ集を一生けんめいやったこと、レアジョブを1日に2回やったこと(これで、短期間の間に、ある程度、会話能力は上がったように思います)、スピーチの問題だけを見てスピーチをやったこと、1分間の考慮時間を使い方の練習をしたこと、などが有効だったのだと思います。

 

また、選んだトピックの内容を誤解してしまうと致命的ですから、これは十分に気をつけてください。帰国子女や、英語を普段使っている人ならそうでもないのかもしれませんが、私も含めて多くの受験生のように、日常、英語を使っていない人は(私は、職場で英語を使う機会はまったくありません)、スピーチで失敗すると、その後の会話、発音が、がたがたになってしまう可能性があります。また、すでに述べたように試験官も、スピーチの出来が悪いと、ほかの英語能力も大したことはないと考えて、点数を厳し目にしてしまうように思います。

 

ただし、スピーチではよどみなく話すことが要求されるわけではありませんし、また、高度な社会、経済、政治などの知識が要求されるわけでもありません。トピックの内容を誤解さえしていなければ、たどたどしくても、高度な議論でなくても合格すると思います。試験官も、英語のことは分かっても、他のことは詳しくありません。

今回、模擬試験を受けた学校の先生が、「常識に反していなければ、スピーチの内容は何でもいいんです」と言っていましたが、私もそのとおりと思います。ただ、何でもいいとは言っても、日頃からスピーチの練習をし、情報の引出しを作っておかなければ、スピーチの内容をひねり出すことは難しいですから、スピーチの練習は十分にする必要があります。

また、5つの(スピーチの)選択肢の中に、これまでやったスピーチがないときは、自分の頭で、何でもいいからひねり出して出してください。日頃から、日本の新聞を読んだり、NHKのクローブアップ現代(これは情報の宝庫という人が多いです)を見たりしていると、回答をひねりだすのに役に立つと思います。

今回、私はこれまでやったスピーチが出たのでラッキーでしたが、仮に5つのスピーチの中に、これまでやったスピーチがなかったとしても、何とか回答し、点数は低くても合格はできていたと思います(まあ、今になれば何とでも言えますが)。

 

ところで、今回は、これまでやった「Can terrorism ever be eliminated?」というトピックがあったので、よくできたと言いましたが、ひとつ特筆すべきことがあります。

後に確かめたところ、私のスピーチ集では、「Can terrorism ever be eliminated?」の回答では、根絶できない理由が、「A、テロリストはイスラム教徒だが、イスラム教は過去にキリスト教、つまり西洋諸国に侵略された過去があり、テロリストにとってテロは復讐だから、テロの撲滅は難しい、B、発展途上国の人のかなりの部分は、貧乏で将来に希望が持てず、その中の一部がテロリストのグループに入る。貧困は撲滅が難しいから、テロも撲滅が難しい」となっていました。

また、私のスピーチ集の他の部分に、「Is terrorism more difficult to prevent than war?」というトピックがあり、そこでは、テロの方が戦争より防ぐのが難しいとした上で、その理由として、「C、発展途上国のある人々は、貧しくて将来に希望が持てないためにテロに走る。これに比べ戦争は、領土や天然資源の奪い合いだから妥協が成立しやすい。D、昨今は一匹狼型のテロが多いが、誰がテロリストか、どこにテロリストがいるのか分からないから戦争より防ぐのが難しい」というような答えになっていました。

 

私の場合、前述のように本番の試験では、「Can terrorism ever be eliminated?」の問題について、根絶できない理由として「①テロの原因は貧困だが、貧困は根絶できない、②1匹狼型のテロは、誰がテロリストか、どこにテロリストがいるのか分からないから根絶し難い」と言っていますから、①が上記のB・Cであり、②が上記のDになっています。

つまり、スピーチ集でやったトピックが出ても、そこにあるとおりの回答をしているのではなく、情報の引出しから情報を引き出し、それを組み合わせて回答しています。また、試験官の「貧困以外のテロの原因があるか」という質問に対しては、Aを持ち出して回答しています。

このように、引出しから情報を適宜、引き出して回答していますが、これが大事なのだと思います。完全なスピーチ原稿を20~30用意して暗記するという人がいますが、これは絶対にやめた方がよいと思います。20~30では数が不足していますし、また、暗記することなどできません。また、暗記では、少しトピックの角度が変わると、トピックの趣旨を取り違えたスピーチということになり致命的です。

 

4 最後に

仕事をしている方は、なかなか勉強の時間が確保できないと思いますが、机に向かっている以外に、歩行中は英語のCDやBBCを聞く、電車の中では英字新聞を読む、職場の昼休みはNHKワールドを見る(インターネットを通してパソコンで見ることができます。日本関連の内容が多く理解しやすいので、英語力の強化に役立ちます)、入浴中は英字新聞を読むなど、細切れの時間を活用することが大事と思います。

また、ネット上にある合格体験をたくさん読むことで自分にあった勉強法を発見することができますから、たくさんの合格体験記を読むことが必須です。

最後になりますが、テソーラスハウスでスピーチの練習をしなければ合格はなかったと思います。小林先生ありがとうございました。

 

森田 茂夫

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