合格体験記

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Intelligenceの習得を目指して

西本 公一 英検1級二次試験 1998年

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初めての二次試験

初めて二次試験に臨むまでの恐ろしさ、心細さはいまでも鮮明に記憶している。なにしろ人前で英語スピーチなどしたことがない。ひとつのテーマを英語で2分間語ったこともない。はたして、英語が出て来るのだろうか。実際の二次試験は予想を超える緊張と絶望だった。

同じ教室でパブリックスピーチをした15人程度の受験者の大部分が、海外滞在経験者独特の流ちょうで美しい発音で話し、与えられたトピックについて何の動揺もなく語っている(ようにみえた)。

スピーチの後の面接官との質疑応答においても、彼らと私との間には、大きな差があるように思えた。英検1級二次試験では10人中4人受かるが、これは自分にとってあまりにも高い壁であり、一次試験の何倍もの努力を要することが、この体験でわかった。

合格を目指して

英検1級のスピーチトピックは、近年ますます難度を高めている。以下は、私が受かったときの五つのトピックである。

A. Does the relationship between government and business need to be changed ?
B. Why do so few men take time off for childcare ?
C. How sports can contribute international relations ?
D. When individuality can turn into selfishness ?
E. The value of life-long learning.

このようなトピックについて言いたいことを1分間でまとめ、2分間で面接官を納得させ、合格点をとるにはどうすればよいか。簡単には受からないとわかった私は、1年間というスパンを見据えて、英語のスピーチとは何かということから勉強を始めた。自学自習は難しいと思い、日本で唯一の英検二次専門校であるテソーラスハウスに入学し、以下のようなことを学んだ。
2分という限られた時間(time constraint)の中で、要領よく自分の考えを伝えるには、英語の論法に基づいて進めることが大切である。まず最初に、トピックに対する自分の意見(賛否)を提示する。トピックAに対してなら、「政府と企業の関係は変わるべきだ」か、「今のままでいい」かをはっきりさせる。これがThesis、またはMain ideaと呼ばれている。日本の論法とは大きな違いを見せる “Conclusion first” の出し方である。

次に、なぜそう考えるのかを具体的に述べるBodyに入る。ここでの目的は提示した主張を相手に納得させる(support of main idea)ことである。あくまでも具体的に、また受け売りではなく独創的な考えであることも必要とされる。そのためには、日頃から社会問題への関心とともに自らの体験も大きくものをいう。また、トピックからはずれることなく”Sticking to the topic”を心がけていなくてはならない。最後に主張を繰り返して(restate thesis)結論とする。

私はこの論法に即して、テーマ別に “Thesis” “Body” “Conclusion” の要点を書いたカードを作った。そして時間さえあれば、このカードを見ながら2分間のスピーチを組み立てていった。2分というtime constraintも練習によって身体に染み込んでいった。テソーラスハウスの先生や学友の教えや意見を受けて、スピーチでの言葉遣いも学んだ。

例えば、日本人が多用する”I think…”という表現は自信のなさを表すものであり、”I believe…”, “I’m convinced…”のほうがよい。会話の中で一度でも”Yeah”という返事をしたら失格。”Burst of Bubble Economy”といったclicheは厳禁、等々。また、スピーチでは相手との友好的な関係を保つことも必要とされるので、”Facial Expression”, “Voicing”, “Eye contact”も重要とされる。

Intelligence

最後に、ある1級面接委員から聞いた言葉を紹介する。「あなたにとって1級スピーチの合否の分かれ目は何か」との問いに、その先生は “Intelligence” と答えたという。つまり、英検の最高峰を持つ者として恥ずかしくない教養と人格があるということだろう。したがって、初めて受けたとき驚愕を私に与えたやたらにしゃべりがうまい人たちも、内容がなければ落ちているのである。

結果的に4度目の二次試験で合格することができたが、スピーチを通して日英の論法の違い、すなわちひとつの異文化を体験できたような気がする。また、英語の学習において、最大の挫折と最高の喜びを経験した2年間でもあった。二次合格点が満点に近かったのは、私にもいくらかの “Intelligence” がついたということだろうか。

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